2019.8.8
アメリカから始まった「旅客機月額定額制」
月額いくらの定額料金を支払えば使い放題になる「サブスクリプション(定額制)サービス」は、日本では音楽配信、動画配信をはじめ自動車シェアリング、ファッション、外食、美容室、家具、家電、宿泊施設などさまざまなジャンルでとり入れられ、話題をふりまいています。
交通機関では、明治の鉄道開通時から「定期券」があり、今は新幹線にもありますが、欧米にはすでに「旅客機」のサブスクリプションサービスが存在します。
定額制の「旅客機回数無制限乗り放題」は、2016年2月にアメリカでサービスを開始した「One Go(ワン・ゴー)」が世界初で、「Surf Air(サーフ・エア)」「Wheels Up(ホイール・アップ)」などがそれに続きました。
交通機関では、明治の鉄道開通時から「定期券」があり、今は新幹線にもありますが、欧米にはすでに「旅客機」のサブスクリプションサービスが存在します。
定額制の「旅客機回数無制限乗り放題」は、2016年2月にアメリカでサービスを開始した「One Go(ワン・ゴー)」が世界初で、「Surf Air(サーフ・エア)」「Wheels Up(ホイール・アップ)」などがそれに続きました。
「One Go」はユナイテッド、デルタ、アメリカンなど民間航空会社のエコノミークラスが乗り放題です。アラスカ、ハワイを除く全米48州76空港発着が月額2,950ドル(32万1,550円)、西海岸地域限定が月額1,500ドル(16万3,500円)、東海岸地域限定が月額2,300ドル(25万700円)となっています。1度に4路線まで予約できますが、搭乗予約を7日前までに行うルールがあり、直前に予約するビジネス客という提携航空会社にとって「おいしいお客さん」を奪わないという配慮です。
一方、「Surf Air」はスイス・ピラタス社製7人乗りビジネスターボプロップ機の自前機材で運航しているので、直前の搭乗予約も可能です。路線はロサンゼルス、サンフランシスコなど主にカリフォルニア州内の短距離で入会金1,000ドル(10万9,000円)、月額1,950ドル(21万2,550円)で乗り放題です。
2016年にはヨーロッパにも進出し、英国ロンドンのルートン空港を拠点にパリ、アムステルダム、ジュネーブ、チューリッヒ、バルセロナなどを結び、南フランスのカンヌやスペインのイビサ島に行くリゾート路線もあります。入会金1,000ユーロ(12万1,000円)、月額2,500ユーロ(30万2,500円)です。
2016年にはヨーロッパにも進出し、英国ロンドンのルートン空港を拠点にパリ、アムステルダム、ジュネーブ、チューリッヒ、バルセロナなどを結び、南フランスのカンヌやスペインのイビサ島に行くリゾート路線もあります。入会金1,000ユーロ(12万1,000円)、月額2,500ユーロ(30万2,500円)です。
ビジネスジェットの共同利用プログラムも
「Wheel Up」は月会費が1,000ドル(10万9,000円)と安いのですが、飛行時間に応じて加算運賃を支払う「従量制料金」を併用しているので厳密な意味での定額制ではありません。
アメリカにはそれ以外に、会員が定額制でプライベートジェット機をパイロット付きでチャーターして共同利用できるプログラム(「VistaJet」「NetJets」など)や、企業や個人が所有するプライベートジェット機を時間を区切って借り受けて自社パイロットが運航し、定額制料金で利用できるプログラム(「JetSmarter」など)もあります。
アメリカにはそれ以外に、会員が定額制でプライベートジェット機をパイロット付きでチャーターして共同利用できるプログラム(「VistaJet」「NetJets」など)や、企業や個人が所有するプライベートジェット機を時間を区切って借り受けて自社パイロットが運航し、定額制料金で利用できるプログラム(「JetSmarter」など)もあります。
プライベートジェット機のオーナーにしてみれば、使わない時に格納庫に長期間置いておくより、飛ばして使わせてお金を稼がせたほうが、機材の購入にかかった費用を早く回収できます。小型のビジネスジェット、プライベートジェットは世界的に成長しているカテゴリーなので、ホンダジェットや三菱MRTのような日本製も参入しています。法令上の壁、航空行政上の壁はありますが、小型機の空き機材を利用した定額制旅客サービスが日本でも立ち上がる可能性はあります。
日本でも期間限定で「定額制」を行っていた
実は、日本の航空会社も路線限定、期間限定、発売枚数限定ではありますが、旅客機で「定額制」のサービスを行った実績があります。それも「One Go」が2016年2月にアメリカでサービスを始めるよりも前のことでした。
2015年1~2月、LCC(格安航空会社)の「バニラエア」は、「成田空港-奄美大島」路線が1ヵ月乗り放題の定期券「Vanilla's Pass(バニラーズ・パス)」を発売しました。全日パスと割安な平日パスがあり、1月分と2月分の2ヵ月間限定でしたが、当時はけっこう話題になっていました。
2016年3月、同じLCCの「ピーチ・アビエーション」が「関西空港-松山空港(四国)」路線で4~6月(5月のゴールデンウィークを除く)の3ヵ月乗り放題の定期券「Perch GO! GO!パス」を発売しました。これも全日パスと割安な平日パスがありました。
2015年1~2月、LCC(格安航空会社)の「バニラエア」は、「成田空港-奄美大島」路線が1ヵ月乗り放題の定期券「Vanilla's Pass(バニラーズ・パス)」を発売しました。全日パスと割安な平日パスがあり、1月分と2月分の2ヵ月間限定でしたが、当時はけっこう話題になっていました。
2016年3月、同じLCCの「ピーチ・アビエーション」が「関西空港-松山空港(四国)」路線で4~6月(5月のゴールデンウィークを除く)の3ヵ月乗り放題の定期券「Perch GO! GO!パス」を発売しました。これも全日パスと割安な平日パスがありました。
しかし、その後はLCCの定額制の話題は聞かれなくなり、日本航空や全日空のような大手も行っていません。
ところが2019年、韓国のLCC「エア・ソウル」が、韓国・仁川-新千歳、成田、富山、静岡、関西、高松、広島、米子、福岡、熊本、那覇の日韓路線で6月1日~7月19日の50日間有効の乗り放題パス「ミントパスJ19」を発売しました。利用日や利用空港に制約があり空港税や燃油サーチャージは別途必要ですが、価格は299,000韓国ウォン(27,600円)と格安でした。路線の数も価格的にも本格的な旅客機サブスクリプションです。ターゲットは韓国人とはいえ、日本発着の「国際線サブスクリプション・サービス」で韓国のエアラインに先を越された格好です。
ところが2019年、韓国のLCC「エア・ソウル」が、韓国・仁川-新千歳、成田、富山、静岡、関西、高松、広島、米子、福岡、熊本、那覇の日韓路線で6月1日~7月19日の50日間有効の乗り放題パス「ミントパスJ19」を発売しました。利用日や利用空港に制約があり空港税や燃油サーチャージは別途必要ですが、価格は299,000韓国ウォン(27,600円)と格安でした。路線の数も価格的にも本格的な旅客機サブスクリプションです。ターゲットは韓国人とはいえ、日本発着の「国際線サブスクリプション・サービス」で韓国のエアラインに先を越された格好です。