2018.3.17
海外に移住する大富豪が増えている
「ニューワールドウエルス」は、南アフリカに基盤を置く世界の富豪の移住状況を調査し報告する機関ですが、2018年に発表した報告書では、2017年に海外に移住した大富豪の移住先国が報告されています。それを見ると、1位オーストラリア、2位アメリカ、3位カナダ、4位アラブ首長国連邦、5位カリブ海諸国、6位イスラエル、7位スイス、8位ニュージーランド、9位シンガポール、10位シプラスの順になっています。
この中で、注目したいのが1位のオーストラリアと8位のニュージーランドが南半球にあることです。世界経済の活動の場が北半球に集中しているにもかかわらず、なぜ遠く離れた南半球の国に移住しようとするのでしょうか。特に、これまで「世界の孤島」と言われてきたニュージランドにも人気が集まっているのは不思議だとは思いませんか。これにははっきりとした理由があるのです。
人気をよぶ南半球の国々
20年くらい前であれば、人々は経済的な安定を求めて、アメリカやカナダなど経済的に発展した国に移住しました。「グリーンカード」の取得が多くの人の夢だったころの話です。また大富豪ならば、重税から逃れるための海外移住という場合も多かったと思います。
つまり、近年の大富豪の海外移住は富をさらに増やすための移住と言うよりは、「逃避」のための移住ということになるのです。
ところが、セプテンバー11が発生して以来、世界中でテロとの戦争やテロ事件が頻繁に起きるようになったころから人々が求めるものがより安全なものへと変わってきました。そこで注目するようになったのが、戦争やテロから遠い所にあるオーストラリアやニュージーランドだったのです。
さらには、2017年にアメリカで排外主義のトランプ氏が大統領に就任して以来、アメリカだけでなく世界中の情勢がより不安定になってきました。その上アメリカでは、戦争やテロだけでなく、異常気象によるハリケーンやたつまきの頻繁な来襲や国内での乱射事件など、生活を脅かすものが後を絶たず、「地球滅亡説」まで出る始末です。
ではこの2つの逃避先国、オーストラリアとニュージーランドがどのような国なのかをもう少し掘り下げてみてみたいと思います。
オーストラリアの特徴
オーストラリアは一つの大陸全体を占める国土の広い国です。内陸部は乾燥地帯となっているため、実際に住める所は海岸沿いだけなのですが、それでも過密地帯の人口密度を比べると、東京23区が15,093人/㎢であるのに対し、シドニーが400人/㎢と、シドニーの人口密度は東京23区の37分の1でしかないのです。
ゆったりした街の様子が想像できるのではないかと思います。
ゆったりした街の様子が想像できるのではないかと思います。