「金融リテラシー格差」で、人生がうまくいく人とそうでない人が決まる

金融リテラシーで変わる社会
私たちをとりまく社会は、大きく変化している。大企業に新卒で採用され、そのまま定年を迎えるまで勤め上げれば定年後は安泰。そんな少し前まで当たり前だった人生はもう夢物語だ。【連載】金融リテラシーで変わる社会(第1回)
2016.12.9
企業年金は確定給付型から確定拠出型へと変化し、会社が準備してくれるはずの年金を自分で運用しなければならない時代。老後にいくら貰えるかは運用成績次第、老後にちょっと贅沢な生活ができるか、貧しい生活をしなくてはならないかは自己責任と言われてしまう。そんな金融や投資に対する知識、まさしく金融リテラシーが私たちの老後の生活に直結してしまう時代に変化しつつある。
老後だけではない。私たちが日々接している金融も大きく変化しつつある。例えば日常の買い物では、現金が使われる機会が減少し始めている。例えば電車や地下鉄に乗るときはSUICAやICOCAを利用し、買い物をするときもイオン系ではWAON、セブンイレブンではnanacoの電子マネーを利用する人が多くなってきている。買い物ではコンビニでもクレジットカードを使うことが増えてきた。また近年では「いくら使ったかわかりにくい」・「使いすぎてしまう」といったクレジットカードのデメリットに対応するために、デビットカードも普及が進み始めている。また、今までは一家に一台あるのが当たり前であった自動車も、リース契約によって購入して所有よりも安価で利用できるようになり、カーシェアリング等による時間単位での利用もできるように変化しつつある。金融に対する知識の有無で日々の生活が変化し、金融リテラシーが高ければ高いほどよりお得に、より便利な生活が可能となる社会となりつつある。
金融のシステムも根本から大きく変化している。世界の基軸通貨として君臨していた米ドルの権威は金融危機以降大きく揺らぎ始め、ユーロも大きく後退した一方で、中国元が国際通貨として躍り出た。また、数年前まで詐欺の様にも思われていたビットコインをはじめとする仮想通貨が、金融市場で大きな存在となりつつあり、米国では上場投資信託でもビットコイン投資をはじめつつある。また、仮想通貨の基礎技術であるブロックチェーンを利用して、日本国内でもSBIが主導して新しい形の金融決済システムの構築も模索し始めている。
金融の世界が今、大きく変化し始めている。この変化についていく為には、利用者である私たちも金融リテラシーを高め、上手に利用をしていかなければならない。金融リテラシーにより社会が変わる未来はそう遠くない、おそらく5年後には「お金」や「金融」は今日と大きく違う形で利用されていることだろう。これからどの様に金融が変化していくか、また金融リテラシーで社会がどのように変わっていくのかについて、これから月に1回連載をしていく。

岸 泰裕

金融工学MBA、大学非常勤講師

大学卒業後、Citiグループの日本における持株会社に勤務。在籍中に金融工学MBAを取得する。その後スタンダードチャータード銀行の東京支店に転職。現在は金融機関を退職し、明治大学、名古屋商科大学、龍谷大学や企業研修・セミナーなどで金融論等について各種講義を行っている。

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