2019.5.10
日々の経済動向を追わないことで得られること
私が最初にトライしたのが、一番多くの方から教えてもらった「日々の経済動向を追わない」。連休の初日から実践してみることにしました。私自身、経済ニュースを日々追わないということをここ数十年経験したことがないため、楽しみでもあり不安であったため、新聞を精読せずに電子版のヘッドライン(見出し記事)を読む程度のソフトなファスティング(断食)でトライしてみました。
最初のうちは、ニュースを追わないことで何かあれば取り残されるのでは、市場の変調を見逃すのではないかという不安が頭をよぎったものの、慣れとは恐ろしいもので時間とともにその不安は徐々に薄れていき、なんとも不思議な感じでした。しかし、次第にFOMC後のパウエル議長コメント、英国の地方選挙結果、米国雇用統計の好結果、などいくつか気になるニュースを見かけるとヘッドラインニュースだけでは取り残されているのではという不安が再燃してきました。
それでも、頑張ってその状態を維持していたところ、少しずつですがある変化が生まれ始めました。それは、ヘッドラインだけ生活を送ると「その背景についていつも以上に想像したくなる」というものでした。
例えば、実際にあったBBCニュースのヘッドライン。「英与党、地方選で1300議席以上失う 最大野党も後退」
英国の地方選挙の結果に関するものです。今回のファスティング前にこのニュースを見たとします。おそらく、「与党の保守党が負けるのは今のゴタゴタだと仕方ないかなぁ、でも、最大野党の労働党も苦戦したんだ。なぜだろうか?」という程度までは想像をしながら記事の本文を読んでいたのではないかと思います。そして、結果の詳細は本文を読み1次情報から3次情報すべてを案外素直に受け止めていたのではないかと思います。
しかし、ヘッドラインニュースだけ生活の結果、「選挙の事前予想からこの2政党の苦戦は指摘されていたけど、どの政党が躍進したんだろうか?」、「欧州議会選挙への影響は?」、「ブレグジットへの影響は?」など、いつも以上に事の背景に対して考えを巡らせてしまいました。そして、連休明け初日にこの選挙結果の詳細を調べ、自分の考えの正当化とズレを修正することができました。
このことから分かったことは、私も含め多くの人は、日頃のニュースや情報の背景をさほど深掘りをすることなく、人のコメントや記事に答えを求めているということでした。経済情報をファスティングすることは、思考を深くする作用があるので、これからはヘッドラインニュースを見る、すぐには本文を読まずに一息入れて自分で思考する、その上で詳細を確認する、自分の思考の修正というサイクルを取り入れることでインプットの質が上がると確信できました。
歴史と振り返り将来に思いを巡らせて得られたこと
さて、日々の情報収集に追われていた時間をファスティングしたことで、時間にゆとりができました。そこで、その空き時間を活用し「歴史を振り返る」という活用術を激動の平成株式市場に当てはめて振り返ってみました。
平成の株式市場といえば、日経平均が最高値を付けたという印象が強いのではないでしょうか。そして、株式市場にとっては暗黒の時代と思っている人も多いかもしれません。平成元年はまさにバブル経済の真っ只中で、日経平均を確認するとまさに一目瞭然。平成最初の1989年1月8日の日経平均株価は3万0209円(当日休場なので前日の終値)でスタートし、平成最後の2019年4月26日は2万2258円で終えています。30年で平均株価は約26%も下落し、失われた30年といわれる所以がまさにここにありました。