2019.4.11
1 デザイン思考とは主体的な取り組みそのもの
仕事をするうえで自分が何を大事にしていくか、明確にイメージしていますか。仕事の正確性でしょうか、それとも効率でしょうか。いずれにしても、自分の責任の範囲をどこまで広げるかによって、仕事への取り組み方が変わります。
たとえば部署それぞれの管轄を重視するのであれば、自分の責務を超えることはしないでしょう。それもひとつの考え方です。しかし、部署や会社さえも飛び越えて、その先の顧客の利益を考えた場合には、自分の損得といった縛りはなくなるでしょう。その結果、自由な発想で仕事に取り組めるようになります。
デザイン思考とは、究極的に顧客のニーズを満足させる成果物を生み出すための考え方です。大事なことはいかにして顧客の利益を最大化できるかです。そしてこの考え方は、ビジネスにおける取り組みにも大いに役立ちます。
2 デザイン思考は究極的に世の中を良くするという考え方
先ほど顧客の利益を最大化するという表現をしました。では顧客のみが利益を得られれば、それで良いのでしょうか。もちろん、そのようなことはありません。顧客にもさらにユーザーである消費者がいます。つまり顧客は消費者の利益につながるものを提供しなければなりません。もし消費者の経済状態が悪化すれば、顧客のユーザーは減少してしまいます。となれば顧客のニーズを満たすためには、さらにその先の消費者について、ひいては世の中全体について考えを巡らせることが必要だとわかります。そのためには顧客が何を提供すればよいのか、そして自社に何ができるのかを考えることになります。
デザイン思考はこのように、直接の顧客や直接の上司のニーズを満たすのではなく、さらにその先にあるニーズを意識して仕事に取り組むという考え方です。究極的には世の中をいかに良くするのか、その視点から自分がなすべきことに思考を落とし込むことになります。
そのためには、具合的にどのように仕事に取り組めばよいのかを説明します。
3 デザイン思考による仕事への取り組み
まずデザイン思考では、顧客や自分の先の部署、あるいは上司のニーズを確認する作業を行います。たとえば、このような資料を作って欲しい、あるいはデータを分析して欲しいと頼まれたとします。いかに正確に、効率良く作業するかという考え方は狭義のものであり、デザイン思考ではありません。