そもそも、そのような資料やデータがなぜ必要なのかを理解する必要があります。もしかすると、その目的のためには指示が適切ではない可能性があるからです。
その目的の確認にはふたつのアプローチがあります。まずヒアリングによって目的を確認し、とりあえず試作品とも言える成果物を提出して確認してもらいます。これはデザインにおいても行う行為ですが、顧客の潜在的なニーズを引き出すことにつながります。
デザインの専門家ではない顧客は、どんなデザインが必要なのかはわかりません。あるいはシステム開発の専門家ではない顧客は、自身が求めるシステムにはどのような機能が必要なのかが理解しにくいでしょう。それをいかに引き出すかがデザイナーの仕事であり、それこそがデザイン思考となります。
まずヒアリングによって、何のために求める成果物が必要なのかを確認します。そのうえで自分なりに必要と思える作業を行い、とりあえず試作の段階で確認してもらいます。
するとこんな情報が足りない、あるいはこのような分析も必要になるという、当初の指示にはなかったあらたな要望が生まれます、それを元にふたたび作業を行い、同じようにフィードバックを受けて完成形に近づけていきます。
デザイン思考では、常に相手のニーズを自分から導き出すという考え方が必要です。顧客やほかの部署、上司は常に的確な指示を出せるわけではありません。その指示を鵜呑みにするのではなく、その目的を明確にしなければならないのです。そしてその目的とは、究極的には世の中をより良いものにするということです。そこから逆算して顧客が必要とするもの、会社が提供すべきもの、そのために社内でどのように連携を取るのかを考えれば、自分がすべきことがわかります。
デザイナーは顧客自身も把握できないニーズを掘り起こして成果物を提供することで、その価値に見合う対価を得ます。
その考え方はビジネスパーソンにも必要です。デザイン思考を身につければ、収入というものは与えられた仕事をこなして会社から貰うものではなく、世の中をより良いものとする対価であることに気づくでしょう。
つまり自分が提供する成果物の価値によって、自分の収入はいくらでも増やせることに気づくと思います。
まとめ
デザイン思考のためには、究極的には世界経済やコンプライアンスといったことも勉強する必要があるとわかります。顧客の利益を確保するためには必要な情報だからです。そのうえで、自分が何をすべきかが明確になりますし、その価値を認められることで、結果的にその対価としての収入を増やすことにもつながります。
人生の成功者や有能な上司は必ず「セレーノ」な資質を持っている
ボストン・コンサルティング・グループは、世界中の2000万人のサラリーマンを対象にアンケートを実施しました。このアンケートから、彼らが夢に描く理想の上司像がくっきりと浮かび上がったのです。上司と部下という関係も、つまるところは人間と人間の関係であることが基本。人間的な温かさをもって部下と接しても、クールな冷徹さで部下との関係を維持する上司も、結局のところ「自分がいかに重要な仕事をしているのかを実感させてくれる上司」が、理想の上司像の唯一無二のものであるというのが人材に詳しい人たちの意見のようです。