資産としての「金(ゴールド)」の特徴
資産として金は次のような特徴があります。
2 誰も債務を負わない「無債務」
3 金には「希少価値」がある
4 「商品」にも「通貨」にもなる二面性
5 保有しても利息がつかない「無利息」
「希少価値」は将来も安泰です。人類は地表近くにあり安いコストで採掘できる金をほとんど掘り尽くたと言われています。金は「商品」にも「通貨」にもなる二面性があるおかげで、戦争や内戦が起きても金のアクセサリーを身につけて逃げて国境を超えれば、避難先の国の貴金属店でその国の通貨に交換し当面の生活資金を得ることができます。
「無利息」は本来デメリットですが、現在の金融情勢ではメリットに逆転しています。
「無利息」の金でもマイナス金利よりまし
英国 プラス0.67%
ドイツ マイナス0.38%
フランス マイナス0.06%
イタリア プラス1.20%
アメリカ プラス1.77%
カナダ プラス1.43%
(2019年11月27日現在)
日本、ドイツ、フランスの長期金利のマイナスは、日本銀行や、ユーロ圏の欧州中央銀行(ECB)が「マイナス金利政策」をとっているために、そうなっています。
マイナス金利を「まれにみる異常事態」と言う人もいますが、それにしては長すぎます。日本銀行は2016年2月のマイナス金利政策の実施開始以来3年半以上も続けています。
マイナス金利の向こうに悪性インフレを見る
マイナス金利のもとでは、長期保有したい資産は国債や預金から金に移したくなります。資産が金に流れ込むと、その価格が上がります。国際指標のロンドン金現物価格(1トロイオンス=31.1グラム/米ドル建て)は、日銀のマイナス金利政策が始まる前月の2016年1月平均は1,097ドルでしたが、2019年10月平均は1,494ドルで、ほぼ右肩上がりで36.2%上昇しました。特に2019年の5~9月の4カ月で1,283ドルから1,510ドルへ17.7%も上昇しています。その時期、ヨーロッパ経済を引っ張るドイツの長期金利が低下し、マイナス金利になりました。
とはいえ、それはマイナス金利からの一時的な逃避だけで説明できません。その背景にある政府、中央銀行の金融政策への不信感もあります。マイナス金利に至る量的緩和政策は国内経済へのマネーの供給量を増やすので、インフレの芽を育てているからです。それも資産が目減りして経済の混乱を招くような悪性インフレで、いつかはそれが来るという懸念がふくれあがります。
金を買う背景は、長期保有で資産を保全し、戦争やインフレのような経済の混乱のリスクに備える意図があります。富裕層は現在の「マイナス金利」の向こうに、経済が混乱して自らの資産がどんどん目減りする「悪性インフレ」という、もっと恐ろしいものをイメージして金を買っているのです。
参考URL:
https://www.nikkei.com/article/DGXNASFK1301V_T10C11A4000000/
https://gold.mmc.co.jp/a_report/1602/index.html
https://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201910/CK2019102702000118.html
https://www.bloomberg.co.jp/markets/rates-bonds
https://gold.tanaka.co.jp/commodity/souba/m-gold.php