2019.6.12
高齢者は「運転は危険な人」ばかりではない
4月19日、東京・池袋で87歳の男性が運転する乗用車が暴走し、歩行者の母親と幼い女の子が死亡し他に9人が負傷する痛ましい事故が起きました。この事故をきっかけに「高齢者は運転免許証を自主返納すべきだ」という声が高まってきました。
警察庁によると、75歳以上のドライバーが起こした交通死亡事故は2018年、全国で460件起きています。前年比で10.0%増加し、死亡事故全体の14.8%を占めています。
「75歳以上」は疾病や要介護になるリスクが高い「後期高齢者」と呼ばれる年齢層で、警察庁は75歳以上は免許更新時に「講習予備検査(認知機能検査)」を義務づけ、検査で「認知機能が低下しているおそれがある」と判定されたら3時間の「高度化講習」の受講が義務づけられています。さらに、検査で「認知症のおそれがある」と判定されると臨時適性検査または医師の診断書の提出が求められ、結果によっては免許取り消しや免停が命じられるようになっています。
運転免許証の自主返納制度は1998年に始まり、2017年は42万3800人、75歳以上では29万2089人が返納していますが、それでも75歳以上の運転免許保有者全体に占める返納済みの人の割合は5%足らずです。
とはいえ、同じ高齢者でも65~74歳の「前期高齢者」は、人によって程度の差はありますがまだまだ元気で、危険な運転をするリスクは低くなっています。職場をリタイアした後もサークル活動やボランティア活動を活発に行っているのも、この年齢層です。
高齢者が高齢者をマイカーに乗せて送迎
運転免許の自主返納に反対する人は、このように言います。
「都会はいいかもしれないが、当地ではクルマがないと買い物にも病院にも役場にも行けないクルマ社会。クルマがないと生きていけないから免許を返納したくても、できない」
それに対しては、全国の多くの自治体が地域の交通を整備し「クルマがなくても生きていける」ようにする対策をとっています。具体的にはコミュニティバスや乗合タクシーの運行や、タクシー料金の補助などです。運転免許の自主返納を促すために、飲食店やレジャー施設の割引、小売店の配達料無料などさまざまな特典もつけています。
それに対しては、全国の多くの自治体が地域の交通を整備し「クルマがなくても生きていける」ようにする対策をとっています。具体的にはコミュニティバスや乗合タクシーの運行や、タクシー料金の補助などです。運転免許の自主返納を促すために、飲食店やレジャー施設の割引、小売店の配達料無料などさまざまな特典もつけています。
そんな中で京都府の京丹後市では、ちょっとユニークな対策を行っています。それは「高齢者が高齢者をマイカーに乗せて送迎する」という助けあいシステム「ささえ合い交通」です。年齢で区切っているわけではありませんが、まだまだ元気でしっかり運転できる前期高齢者が、足腰が弱った後期高齢者をマイカーに乗せて、その移動を手助けするようなイメージです。
京丹後市は京都府北部の丹後半島にあり、バスも減便していて典型的なクルマ社会です。