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2019.12.2
日本は人口減でも世界は人口増、食糧難の問題が迫る
日本で人口減少が続く一方、世界の人口は増加を続け、現在約75億という数値は2050年には100億に迫る勢い。人口増加で浮上するのが、食糧難問題です。
農地や牧場をつくるための森林伐採や水産資源の乱獲は生態系を壊し、気候変動による生態系の変化も私たちの食糧生産に悪影響を及ぼします。
食糧難は、従来の対処法では解決できない問題なのです。
食糧難は、従来の対処法では解決できない問題なのです。
ゲノム編集で効率的な食糧生産が可能に
ゲノム編集は遺伝子を改変する技術のひとつ。狙った遺伝子を切断して特定の遺伝子を機能させなくする方法と、狙った部分に新しい遺伝子を加える方法があります。
日本では、2019年10月1日からゲノム編集食品の流通・販売に関する新しい届出制度が始まりました。厚労省との事前相談は必要ですが、特定の遺伝子を切断するだけなら安全性審査も表示義務もなし。別の遺伝子を新たに組み入れる場合は、従来の遺伝子組み換え食品と同様、安全性審査が行われるというものです。
ゲノム編集のメリットは、従来の品種改良や遺伝子組み換えよりも低コストかつ短時間で食品の品種改良が可能なことです。効率的に時代のニーズに合った食品をつくれると期待されています。
実際に日本で開発されているのは、特定の栄養が多いトマト、収穫量の多いイネ、可食部の多いマダイなど。新制度が始まったことで、早ければ2019年内にも販売される見通しです。
実際に日本で開発されているのは、特定の栄養が多いトマト、収穫量の多いイネ、可食部の多いマダイなど。新制度が始まったことで、早ければ2019年内にも販売される見通しです。
植物原材料や細胞培養による「人工肉」が健康志向と環境問題に対応
「人工肉」の取り組みは米国が中心です。人工肉を支持する主な人々は「フレキシタリアン」。完全な菜食主義ではなく肉の摂取量を減らし健康に良い肉を食べたいと考える人々です。
日本も含め、世界では魚介類の乱獲によって水産資源が9割も減少。このままでは人間は魚を食べられなくなるかもしれません。養殖をするにしても水質汚染が問題です。人工肉なら、そのほとんどが生態系を破壊せずに製造可能と考えられています。
日本も含め、世界では魚介類の乱獲によって水産資源が9割も減少。このままでは人間は魚を食べられなくなるかもしれません。養殖をするにしても水質汚染が問題です。人工肉なら、そのほとんどが生態系を破壊せずに製造可能と考えられています。
人工肉製造を行っている代表的な企業は、メンフィス・ミーツ社やインポッシブル・フーズ社です。
メンフィス・ミーツは、牛と豚の幹細胞から筋肉線維をつくって培養するという方法で、2016年、世界に先駆けて人工肉を開発。インポッシブル・フーズ社は、大豆とじゃがいもを主な原材料とした植物由来の牛肉を開発し、バーガーキングの「インポッシブル・バーガー」などに提供しています。
メンフィス・ミーツは、牛と豚の幹細胞から筋肉線維をつくって培養するという方法で、2016年、世界に先駆けて人工肉を開発。インポッシブル・フーズ社は、大豆とじゃがいもを主な原材料とした植物由来の牛肉を開発し、バーガーキングの「インポッシブル・バーガー」などに提供しています。
植物由来の魚肉を開発するものでは、ギャザード・フーズ社のグッド・キャッチがあり、高級スーパーで人工ツナを販売中です。
日本で人工肉開発に取り組むのはインテグリカルチャー社。独自の「カルネットシステム」を用いて、さまざまな細胞を組み合わせた培養によって大幅なコスト削減に成功。味や食感にもバリエーションをもたせた人工肉が製造できるとし、2026年の販売開始を予定しています。
日本で人工肉開発に取り組むのはインテグリカルチャー社。独自の「カルネットシステム」を用いて、さまざまな細胞を組み合わせた培養によって大幅なコスト削減に成功。味や食感にもバリエーションをもたせた人工肉が製造できるとし、2026年の販売開始を予定しています。
世界が見直した「昆虫食」のメリットはコスパ
「昆虫食」と聞くとゲテモノ扱いされる昨今ですが、日本にはもともと昆虫食文化があり、世界でも現在約19億人が2,000種類ほどの昆虫を食べています。国際連合食糧農業機関の報告により、昆虫食が食糧難問題の解決策として見直されるようになりました。
昆虫料理研究家の山内昭一氏によれば、トノサマバッタはモモ肉とムネ肉が発達しており、油で揚げれば味も食感もエビに似ているとのこと。東京農業大学名誉教授で昆虫食についての編著書も多い三橋淳教授は、昆虫では「成虫になる直前のセミの幼虫を唐揚げにしたもの」が一番美味で、やはりエビのような風味で「外はカリッと中はプリッと」していたそうです。現実的な普及段階では、粉末やペースト状にして販売するのが良いだろうとも述べました。
昆虫料理研究家の山内昭一氏によれば、トノサマバッタはモモ肉とムネ肉が発達しており、油で揚げれば味も食感もエビに似ているとのこと。東京農業大学名誉教授で昆虫食についての編著書も多い三橋淳教授は、昆虫では「成虫になる直前のセミの幼虫を唐揚げにしたもの」が一番美味で、やはりエビのような風味で「外はカリッと中はプリッと」していたそうです。現実的な普及段階では、粉末やペースト状にして販売するのが良いだろうとも述べました。