2018年10月4日 更新

賢い消費者になるためには?- 行動経済学のトリックを知る

「こんなもの買うつもりじゃなかったのに!」このように後悔した経験はありませんか。それは行動経済学の「ナッジ理論」を活かしたマーケティングに惑わされてしまったのかもしれません。どうすれば惑わされないか、それは「ナッジ」のトリックを知ることです。

演出された希少性

航空券やホテルの予約サイトを利用されたことはありますか。このようなサイトでは、「この値段での空室は2部屋のみ、10人が既にこの部屋の詳細ページを閲覧しています」という「ありがたい」情報を表示し、希少性をアピールします。それを見て消費者はつい慌てて購入してしまいます。これは希少性の原理を利用したマーケティングテクニックです。
希少性の原理とは、アリゾナ州立大学の名誉教授、ロバート・チャルディーニ博士の著書『影響力の武器(原題:Influence: The Psychology of Persuasion)』の中で提唱する、人を動かす影響力となる6つの原理の1つです。
希少性の原理には2つの心理作用が関係していると説明しています。そしてその2つについてのチャルディー二博士の説明をまとめると次の通りです。

1.心理的リアクタンス

人は選択の自由を奪われることに反発する習性がある。例えば、数量や期間が限定され購買の自由がコントロールされることに反発し、その希少な物を入手したくなる。

2.思考のショートカット

人はステレオタイプを基準にして物事を簡単に結論づけてしまう弱点がある。「限定や人気があるということは有益に違いない」と簡単に結論づけてしまう。
これらの2つの心理的要因を利用してナッジしているのです。しかし、ここで問題なのは希少性は演出される可能性があるということです。希少性の原理には「情報の非対称性」という不公平も関わってきます。本当の情報は売る側しか知りません。残室2室、10人が興味を持っていると言う情報は本当なのでしょうか。

賢い消費者になるためには

ご紹介した例の他にも様々なトリックで消費者は「ナッジ」されてしまっています。普段の買い物だけでなく、大きな投資で後悔しないためには、行動経済学の様々な実証例とその理由を知ることが大切なのではないでしょうか。アリエリ―教授の著書ではユーモアに満ちた分かりやすい説明で様々な実証例が挙げられています。お時間がありましたら、是非読んでみてはいかがでしょうか。

予想どおりに不合理: 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」

予想どおりに不合理: 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)。

K. ブリーン

アメリカの某大学経済学部卒業。主に社会経済や映画の事などを書いてます。ピラティスにはまり指導員資格を取りました。
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K. ブリーン K. ブリーン
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