2018.7.2
暗黒の中世において社会の中心にあった修道院
歴史ある建造物には事欠かないイタリア。
貴族や法王によって建設された宮殿や城塞が各地に残るほか、歴史ある修道院も数多く見ることができます。経済的にも社会的にも大きな役割を果たしてきた修道院は、経済力と労働力を常に確保できるという幸運がモノをいって土地のハブ的な機能を担ってきました。自然と、その構造は大規模になります。聖職者が居住していた修道院のみならず、葡萄畑や果樹園、ワイン醸造所やチーズ製造所など、数多くの機能を有していたのが歴史における修道院の役割なのです。
現在は、各地の修道院でその役割を伝える修道士の数が激減し、社会問題となっています。元修道院という名のもと、ホテルやレストランに改装されるケースが増えているのはこうした事情もあります。
トスカーナにも劣らない魅力!イタリアのウンブリア州
修道院の構造を利用して有名になったホテルといえば、トスカーナ州フィレンツェ近郊にある「ヴィラ・サン・ミケーレ」。
美しいフィレンツェの街並みを眼下に見下ろすロケーション、由緒ある修道院の形とモダンなホテルの機能の絶妙なバランスは、著名人たちにも愛されてきました。トスカーナ州は特に、欧米のエリート層に人気の観光地。このホテルで長期滞在を楽しむ富裕層が後を絶ちません。
トスカーナ州よりはローマよりに位置するウンブリア州。トスカーナの街が、良くも悪くも観光客を受入慣れて、少しばかりスレているイメージがあるとすれば、ウンブリア州はまだまだ素朴さが残ります。
ペルージャを州都とするウンブリアは、「イタリアの緑の心臓」と呼ばれるほど自然が美しい地域。ローマに近いという地理的な条件もあり交通の要衝として政略的にも重要な街がたくさんあります。日本人の観光客にも人気のアッシジやオルヴィエートも、ウンブリア州にある街です。
そのウンブリアに、デルータという街があります。アッシジに近いこの街、日本ではほとんど名前が知られていませんが、イタリア人であれば「それは焼き物の街だ!」とピンと来る人が多いほど数多くの陶器の工房が軒を連ねている街です。