高校在学途中で渡米。価値観が180度変わった
STAGE編集部:東京、カリフォルニア、ハワイ、そしてまた今東京。住む場所も働き方も本当にさまざまですね。
一貫性がないと言えばないんですよ、私(笑)。そのとき、欲される場所で、自分がやりたい仕事に突き進んでいるだけ。夫と共に住むハワイから、今は期間限定で東京住まい。東京でヨガインストラクターとして、そして2016年日本再上陸したスポーツウェアブランド『ルルレモン』のPR戦略を立てる仕事をしています。
STAGE編集部:生まれも育ちも東京ということですが、高校途中でアメリカの高校に転校したと聞きしました。それはなぜなのでしょう?
幼稚園からエスカレーター式の学校で育ちました。小さい頃から思春期までずっと同じコミュニティの中で育ち、「私このまま日本にいたらダメになるんじゃないか。この世界から飛び出してみたい、違う世界を見てみたい」という衝動に駆られ、高校在学中に1年の交換留学を経て、転校という形で渡米しました。
ブランドバッグじゃなく「体験」。それが私にとってのラグジュアリー
STAGE編集部:渡米後、自分の中でどんな変化がありましたか?
最初の1年がコロラド州の田舎町。今まで住んでいた東京とは全く違う場所、自分の価値観も全く通用しない。自分の軸が大きく変わりましたね。中学のときは「みんな持っているから私もヴィトンの財布が欲しい!」って親にねだっていましたが(笑)、そんな欲もなくなったアメリカの学生生活は、私の中で大きな転機になりました。
STAGE編集部:具体的にどんな価値観の変化があったのですか?
うちの母が昔からよく言っていたことと同じなんですが、お金があるときはあるなりの生活を、ないときはないなりの生活ができるようになればいいんだって。だから、お金がなくなっても心豊かに生活ができるように、自分の大切なもの、自分が求める”ラグジュアリー”を、しっかり持っているべきだって。
STAGE編集部:壽里さんにとっての”ラグジュアリー”とは?
私にとっての”ラグジュアリー”は、高価なブランドバッグを持つことでなく、「体験」。例えば刺激を与えてくれる友達と一緒に食事に行くことも「体験」。人との付き合いで得るものもあるから、そういうところには自己投資と考えて積極的に参加します。もちろん物欲もあるけれど、今の自分の経済状況に見合った、背伸びしない範囲の物欲かな。いつかこれを買えるようにもっとがんばろうっていうモチベーションを含めての物欲に変わっていったのかも。
STAGE編集部:「体験」することが一番の”ラグジュアリー”、とても素敵な考え方ですね。
誰か大切な人と、未知の場所に行って、いろいろな人の話を聞いて、土地に刺激を受けて、私もこういうことにチャレンジできるかも、これをやったら楽しいんじゃないか。その自分を高められる環境に身を置くことが、今の私にとっての最高の”ラグジュアリー”だと思うんです。
STAGE編集部:それが仕事にもつながってくる、と。
本当にそれを実感しています。ヨガインストラクターになったことも、ハワイでヨガクラスを受講したことがきっかけだったし、今も旅行に行くと、その土地のヨガやフィットネスのクラスを受けたりもするし。元々ロサンゼルスに行く度にクレンズジューススタンド巡りをするのが好きで、好きがこうじて今クレンズジューススタンドの経営に携わっている。そのポテンシャルは学生の頃から同じ。もっといろいろやりたい、いろいろなことを勉強したいと、貪欲ではありましたね。
人と人をつなぐクリエイティビティな仕事をしていきたい
STAGE編集部:スポーツウェアのPRにヨガインストラクター、そしてクレンズジューススタンドの経営者まで。さまざまなお仕事を同時進行でされていますが、それぞれの仕事の共通項は?
どれも私にとってクリエイティビティな仕事、ですかね。私の好きな仕事は、いろいろな人と会える仕事と、いろいろな人とコラボができる仕事。イベント開催や商品開発など、私の持っているものと、この人の持っているもの、あわせて何をやればおもしろいことができるか、それを考えているときが、形にするときが、最高に楽しいんです。
STAGE編集部:壽里さんの中でクリエイティブというのは、人がありきなんですね。
そうですね。絵を描いたり、写真を撮ったりすることではなく、人と人をつなげること。私の中で、そのキーワードが人生そのものだから。だから働く場所や職種や業種にとらわれないのかも。仕事はわくわくしながらしないと。仕事って毎日するものですからね。
やってみる勇気と、やめる勇気
STAGE編集部:自分の今の仕事を通じて世の中に伝えていきたいことは何ですか?
何でも好奇心を持ってしまう私ですが、人生にも仕事にもたくさんの選択肢があるということ。極論ですが、今の仕事が好きじゃなかったら、別の仕事をすればいい。そんな簡単なことじゃないけど、幸せで楽しい仕事をするためには、自ら選んで決めることが大切なのかな、と。
STAGE編集部:特に日本人は選択して失敗したくない、と現状に耐えがちですよね。
私、ヨガインストラクターになる前に、一時期ハワイで不動産の仕事をしていたことがあるんです。自分には向いていないかもと思いながらもお給料がよかったから。でもちょっと違うかな……、とずっと思っていたから、思い切って辞めました。そのときの経験は今もすごく役に立っています。失敗した、という意識はないんですよ。判断が間違っていたら軌道修正すればいい。限りある人生だもの。自分の直感を大切にしていきたいんです。
STAGE編集部:興味があることにまっすぐにチャレンジし、それが間違っていたら軌道修正する。その行動力は日本人女性が一番見習うべきところかもしれませんね。
私自身は特に何か特技があるわけでもないけれど、行動力だけは人一倍(笑)。ずっと仕事はしていきたいな、と思っています。自ら選択して旅行もいきたいし、大切な人と好きな場所で好きな物もたべたい。お金があることによって可能性が広がる。仕事の面でもお金があれば次のステージにも行けるし、視野が広がるとも思う。お金って世の中とつながる大切なツール。だからこそ、自分のアイデンティティーを守るためにも、もっときちんとお金のことを学んで、経済基盤を作っていきたいと思っています。私にとってお金は、自分の可能性を広げてくれたし、これからもそういう存在だと考えるから。
住む場所は問わない。働く場所は複数あっていい
STAGE編集部:将来の目標は?
いろいろあるけれど、以前やっていた、インドの恵まれない子供たちの教育を支援するボランティア活動をやっていきたいです。ライフワークにしていきたいと思っているので、それをするために、これから自分の経済基盤をしっかり確立していく必要がありますね。
STAGE編集部:将来の住まいは?
今考えているところです(笑)。今はとりあえず日本でもうちょっとがんばって、その後少し考えようかな。どこに住んでいたとしても、いろいろな場所で仕事はしていきたいと思っています。
STAGE編集部:拠点を変えるだけで働く場所は複数あってもいいと思う?
思います。会いたい人も世界中にいるし、行ったことのない場所もたくさんある。だけど多分一生変わらないのは、クリエイティブに仕事をし続けること。それが私の人生の可能性を広げてくれるはずだから。
「お金とは、可能性。(エドワーズ壽里)」
<the key item for my STAGE>
昨年購入したばかりの手帳
日々のスケジュール管理、TODOリスト、打ち合わせのメモ書きに加え、毎月〜5年後10年後の目標設定の書き込みも。「新月のときに毎月の目標設定をし、満月のときにそれが達成できたら振り返るようにしています。将来の目標は日々変わっていくので、その都度棚卸し。この作業があるからこそ、直感でやりたいこと、するべきことが判断できるようになっているのかも」。
<インタビューしたお店>
アロハ・アミーゴ原宿店
開放的なテラス席も備えた店内では、ヘルシーでスパイシーなメキシコ料理とハワイ料理が楽しめる。お酒の種類も豊富。
住所:東京都渋谷区 神宮前5丁目16ー13 シックス ハラジュク テラス
電話番号:03-6427-3905
営業時間:11:30〜23:00
定休日:なし