それは慎重に考えるべきだと思っています。一からコミュニティを立ち上げるよりも、実は既存のコミュニティとうまく組む方がうまくいくかもしれません。
本来コミュニティは、中心にいる人の熱量によって「勝手に派生」するものです。ところが、企業がコミュニティを主導すると、主催企業の意図したとおりに動かされるという感覚を参加者が持ち、熱量が高まりにくくなってしまいます。
事業会社だと、コミュニティを作るのにいくら投資したから、そのリターンが何なのか定量的に説明せよという話しになります。でも、コミュニティが盛り上がったからといって、それが収益にどれだけ貢献したかを判定するのは難しいものです。そしてその意味を求めてしまうと、熱が高まりにくくなってしまうのがコミュニティです。
それよりも、企業が既存の愛好家コミュニティとタッグを組む方が、熱量ははるかに高まりやすいはずです。
そのためにも、企業には良いコミュニティを見つけてくる「嗅覚」と、既存コミュニティと自分たちの良さを掛け合わせるノウハウを持つことが大事になると思います。
――確かに、その方がコミュニティ運営のリスクをおさえられそうですね。
そうですね。コミュニティ運営は、オウンドメディア運営のように、すごく体力がいるものです。
そして、「オウンドメディア」の一時期の流行と同じような、危うさがあるとも思っています。
一時期のオウンドメディアは、それを持つことでリードが取れて、消費者を囲い込めるという「魔法の杖」のように思われていたところがありました。でも、実際オウンドメディアは立ち上げただけで読んでもらえるわけでなく、ユーザーにリーチさせる設計が必要になります。実際、オウンドメディアで成功した媒体は、さほど多くないのではないでしょうか。
コミュニティも一時期のオウンドメディアのように、今ブームになっています。
でも、コミュニティ運営はオウンドメディア運営の数倍たいへんです。オウンドメディアは一方向の発信ですが、コミュニティは双方向であるため、相手がどう出てくるかわからないアンコントローラブルな難しさがあるからです。
しかも、コミュニティは「これでうまくいく」という確立された方法はありません。あるとしたら、「やめない」ことでしかない。その覚悟が本当にあるかということです。
リソース面でそこに不安があるなら、既存のコミュニティを探してきてアプローチする方がうまくいくはずです。コミュニティを立ち上げてからとん挫し、ディスブランディングになってしまうような結果は、避けるべきです。
会社でできないことは課外活動で学び取る。「オンラインサロンで運営を学び起業」柴山由香さんインタビュー

運営者としていくつものオンラインサロンで活動する柴山由香さん。子育てをしながら会社経営もし、それだけでも多忙なはずなのに、サロン運営に取り組む姿はかろやかです。サロン主催者からの信頼厚い柴山さんに、仕事も人生も輝かせるサロンの魅力についてお話を伺いました。