2018年9月25日 更新

<エネコ・アチャ>スペイン史上最年少三ツ星シェフの考える、美食とお金、そして人生の価値とは?

スペイン史上最年少でミシュラン三ツ星を獲得し、米エリートトラベラー誌が選ぶ「世界のベストレストラン」第1位にも輝いた若き天才料理人、エネコ・アチャ・アスルメンディさん。スペイン・バスク地方にある「アスルメンディ」は世界中の美食家が羨望する三ツ星店である。エネコシェフを追いかけたドキュメンタリー映画『世界が愛した料理人』は昨年、ベルリン国際映画祭でも話題に。天才料理人の考える「美食とお金、そして人生の価値」とは?(日本では2018年9月22日より公開)

いま料理界で注目のシェフ、エネコ・アチャをご存知だろうか。スペイン屈指の美食の街、バスク地方にあるエネコ自身の店、「アスルメンディ」が2012年に史上最年少(当時)の34歳でミシュラン三ツ星を獲得。以来、6年連続で三ツ星を維持し、さらに米旅行雑誌の選ぶ「世界のベストレストラン100」第1位にも輝いた、若き天才料理人である。

昨年は、エネコが来日し「すきやばし次郎」などの名店や築地市場をめぐって美食を探求するドキュメンタリー『世界が愛した料理人』が制作され、ベルリン国際映画祭でも話題となった。今回は、来日中のインタビューと、映画の中での訴えるメッセージとともに、エネコの考える「美食とお金、そして人生の価値」について、紹介する。(日本では2018年9月22日より公開)

映画『世界が愛した料理人 』9/22(土)YEBISU GARDEN CINEMA他全国順次公開!予告編

祖母と母から受け継いだ味を守り、天才と呼ばれるいまも試行錯誤を重ねる

季節ごとに伝統料理を各家庭で楽しむ、バスクの豊かな食環境で生まれ育ったエネコ。15歳から料理人として25年以上キャリアを積み、「天才」と評価される立場になった。その独創的な世界観と味わいで、世界中の美食家をうならせてきたが、いまでもレシピに影響を受けているのは「料理上手な祖母と母の味」だという。そして「奇抜なことをしていると思われがちですが、フライやソテー、ロースト、ボイルなど調理方法は家庭料理と変わりません」と大胆に言い切る。
祖母と母の味をベースにしつつ、新メニューの開発には圧倒的なパワーと集中力を注ぎ込む。季節ごとに使える食材を厳密に分類し、どう扱うか絵を描いて具現化していく。「最初の試作は大失敗になることが多くて、イメージとまったく違う料理ができるんです。頭で思い描いていた料理を作ってみたら、おいしくなくてボツになり、仕切り直すこともある。打開策のひらめきが訪れるまでは本当に苦しいだけです。それがかえって燃えて、だから料理は面白いのだと思います」と映画『世界が愛した料理人』の中で語っている。
世界から天才と呼ばれるようになったいまでも、悩み、思考錯誤を続けているエネコ。芸術の範疇に見える料理という分野でも、ごく普通のビジネスマンが日々の仕事で悩み、解決策を見つけていく過程とあまり変わらない。

世界中の美食家が絶賛する「アスルメンディ」と昨年開業の「エネコ東京」

エネコの店「アスルメンディ」は、山と海に囲まれた食材の豊かな美食の街、バスク地方に建つ。店を訪れる客には、料理だけでなく「バスクの自然を丸ごと楽しんでもらいたい」というエネコのユニークな仕掛けが随所に散りばめられている。
三ツ星レストランの中ではめずらしい「昼のみ営業(金・土はのぞく)」のため、ドレスコードはゆるい。店に入るとまず植物園のような緑あふれる空間で、チャコリ(バスク産の低アルコール微発泡ワイン)とフィンガーフードで「ピクニック」の演出を楽しむ。そして「厨房を見学」しながら小品をつまみ、さらに「グリーンハウス」と呼ばれる部屋で香りや食のサプライズを体験し、すっかりリ心がほぐれたところで、メインダイニングに移動する。ここは壁一面がすべてガラス張りで、田園風景が遠くまで見渡せる。お客はバスクの豊かな自然を目で堪能しながら、エネコの独創的なフルコースを味わい尽くす。
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浅野陽子 浅野陽子