仕事においては、ＳＴＡＧＥ3以上になると、「自分の好きなことを仕事にする」ということが名実共に現実的になってくる。つまり、「好きな仕事だけれど、なかなか収入につながらない」とか「それなりの収入は得られているけれど、本当はあまり好きな仕事ではない」という状態ではなく、好きなことを仕事にして、かつ収入という結果にもつながるという状態が可能になるということだ。
資産運用においては、学びを継続しながら、保有資産の1割でさまざまな種類の投資を試してみる。その中で試行錯誤しながら、相性が良く、楽しいと思える、未来の「専門分野」を探し出していく段階といえる。
ＳＴＡＧ4 自己完成型
ＳＴＡＧＥ4は、端的にいえば、人生にバイアスをかけない生き方ができるようになるＳＴＡＧＥだ。
年齢の2乗の貯蓄を有し、自己投資の習慣もしっかりと身についている。資産運用についても、ＳＴＡＧＥ3で見つけた自分に合った方法を専門分野に育て上げ、資産の5割以上を集中投資し、着実に増やしていく仕組みを構築できている。増やしていく、といっても、安定的に預金金利よりも高い利回りを出すことができているというレベルの話ではない。数ある資産運用の中で自分の専門分野はこれ、という明確な自覚を持ち、そこからの収益が、いずれ仕事による収入を凌駕できる可能性を見出しているのが、このＳＴＡＧＥだ。
また、ＳＴＡＧＥ3との違いが特に大きいといえるのが、仕事だ。ＳＴＡＧＥ4まで来ている人は、失敗から学ぶという思考が確立されているので、失敗を恐れずたくさんの経験を積み上げている。
そして自分の能力を活かし、付加価値を生み出すことで、時間を切り売りして働くのではなく、成果に連動して収入を得られる仕組みができている。また、自分が持っている知識や経験を、周りの人に共有することで社会に還元していくということに意識が向けられるようになる。
仕事でも、資産運用でも成果を出し続けており、5年以上純資産を減らしていない。そして、自分や家族の生活にとどまらず、仲間や社会への貢献ができてくる──これがＳＴＡＧＥ4の人の平均像といえるだろう。
ＳＴＡＧＥ5 長期安定型
お金の教養ＳＴＡＧＥの最終ゴールであるＳＴＡＧＥ5は、いったいどのような世界なのだろうか。
お金の教養ＳＴＡＧＥが上がり、ＳＴＡＧＥ5になると、お金が空気のような存在になり、お金を意識せずに生活できる状態になる。そうすると、物事を判断するときの基準が「お金」ではなくなる。普段私たちは「空気がなくならないようになるべく息を吸ったり、吐いたりする量を節約しよう」などとは思わないで呼吸をしているはずだ。それと同様に、お金が空気のような存在になるので、お金が判断基準にならなくなるのだ。
同時に、時間も自由に使えるようになる。「忙しい」という状態から解放され、お金だけでなく、自由な時間をたくさん持つことができる。
その結果、費用対効果や時間対効果を考えずとも、自分が本当に好きなことにお金と時間を使えるようになる。
ＳＴＡＧＥ5になると、多くの人が、自分のためではなく、人の成長や文化の継承に積極的にお金と時間を使うようになる。育ててあげたいと思える若者がいれば、少し背伸びをしたレストランに連れていって新しい世界を見せてあげる。惜しみなく時間を使って相談に乗ってあげる。好きな現代アートの作家がいれば、惜しみなく作品を買って応援する。自分だけのためにお金を使っていた頃よりも、心も人生も豊かになるはずだ。
泉正人 | ファイナンシャルアカデミー
