2017年12月20日 更新

お金が貯まらない人の悪しき生活習慣~『お金原論』[第10回]〜

「お金」とは何か ── 。このシンプルな命題に、現代の視点から向き合おうというのが『お金原論』という新しい学問だ。現代において、私たちの生活とお金とは一蓮托生だ。お金の悩みから解放され、自由な時間を産み出し、心に描く夢のライフスタイルを実現したい。そんなあなたへ。

医者であり、作家としても数々の名著を遺したサミュエル・スマイルズも、その著書『向上心』
(三笠書房)の中で次のように述べている。

人格を支える最良の柱となるのは、いつの場合にも習慣である。その習慣に従って意志の力が良いほうにも悪いほうにも働き、場合に応じて慈悲深い支配者になったり残酷な独裁者になったりする。
習慣は、日々の積み重ねだ。そして、良い習慣を続けられれば、松井選手のように人生
の可能性を限りなく広げてくれるが、悪い習慣を続けてしまうと人生に大きな悪影響をも
たらすのだ。

かかってはいけない「お金の生活習慣病」

近年、高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満などの生活習慣病の蔓延が社会問題化している。こうした生活習慣病の改善に効果があるとされる特定保健用食品の市場規模は年々拡大の一途をたどり、すでに6,000億円を超えているともいわれている。
生活習慣病の原因にあるのは、その名のとおり、日々の「習慣」だ。悪しき生活習慣の日々の積み重ねによって、時には命取りになりかねない大きな病気が引き起こされているという現実が、ここにある。
お金の生活習慣も日々の積み重ねである。ゆえに、健康の習慣と同じように生活習慣病が存在する。詳しくは後述するが、そのほとんどが1回だけなら問題とならなくても、長く続けることでボディブローのように人生を蝕んでいく類のものだ。そして、残念ながら、一般的な生活習慣病と異なり、お金には定期的に健康診断を受ける公的な後押しがない。気づいたときには、投薬程度では治療ができないほどの致命傷となっている場合も多いのだ。
お金の悪しき生活習慣を断ち切るには、地道な努力が欠かせない。ダイエットをイメージするとわかりやすいだろう。
私自身も過去に経験があるが、ダイエットに無謀な計画は禁物だ。たとえば、「1カ月で5キロ痩せる」といった目標を立てても、それを実現するにはおそらくかなりの食事制限が必要だろう。たとえいったんは目標達成ができたとしても、その後にリバウンドしたり、体調を崩したりといった副作用が待ち受けている可能性は高い。
ダイエットを成功させ、かつダイエット後の体重を基本体重として定着させていくには、3カ月や半年、あるいは1年など、長期のスパンで計画を立て、日常生活に無理がかからない範囲で努力を積み重ねていくことが必要だ。
「お金がない」と日々悩んでいると、「宝くじにでも当たったらいいのに」と一攫千金で一挙にお金を増やそうとする人もいるが、これは1カ月で5キロ痩せようとしているのと同じようなものだ。仮に幸運の女神が味方をしてくれて、高額当選を果たしたとしても、多くの場合、金銭感覚が狂ってしまい、大きな買い物をしたり、無駄遣いをしたり、架空の投資話に騙されたりして、気づけばほとんど残っていないということになりがちだ。そればかりか、自己破産というリバウンドが待っているかもしれない。実際、宝くじの高額当選者の実に7割がその後、自己破産に至っているとも言われている。
収入が増えれば問題は解決するのではないかと考える人もいるが、それもまた多くの場合、違う。
年収1,000万円以上の収入があっても、入った分だけ全部使ってしまい、足りなくなったらクレジットカードで買い物をし、ほとんど貯蓄がない。もしくは、「高所得者層である」という自負にかられて、マイホーム、車、子どもの教育、海外旅行と、少しずつの「贅沢」を重ねることで家計が火の車という事例は珍しくない。これは、人間の身体でたとえれば、カロリーの高いものばかりを食べ、お酒を毎日飲んでいるような状態ともいえる。
一見、不況や物価上昇といった経済環境や、たまたま起こった不幸な出来事が原因に思えるお金の問題も、ひもといていくと、本人のお金の生活習慣が最大の原因であったというケースは少なくない。
もし、一時的なダイエットではなく、生涯、健康的なお金のプロポーションを保ちたいのであれば、まずは無駄遣いをはじめとする生活習慣病を正すことが先決だ。そのうえで、毎朝ジョギングをするように貯蓄をしたり、週末にジムでマシントレーニングをするように資産運用をしたり、と地道に良い習慣をつけていくことが重要だ。
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泉正人 | ファイナンシャルアカデミー 泉正人 | ファイナンシャルアカデミー
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