でも、そもそもビットコインには有名な取引所何個かありますけど、あれって結局、ビットコインがせっかく非中央集権なのに、取引所に中央集権になってしまっているんです。だからこそ、そこから資金が流出したりといったリスクも高まってしまう。そういうコンセプトが分かっていると、ビットコインのあるべき姿として、そのBreadが言っているような「お金を持たない銀行」というのがとてもしっくりきます。
PtoPの流れは止められない
ブロックチェーンの出現により中央集権型の第三者への信用が不要になった。これがトラストレスです。インターネットの進化というのは中央をなくすことで、常に進化してきました。距離と時間を制約をなくしてきました。今までは何かを買おうとしたときに、お店に出向いて行かないといけない。お店も問屋さんとか、卸売とか、いろんなところを経由して手元に届いていました。
今、アマゾンでアマゾンのウェブに行かなくても、ある意味、アマゾンダッシュでピっと押したら発注できますよね。本当にどんどんどんどん簡単になってきています。なので、どんどんどんどん中間のものがなくなって、直接繋がろうとしている。だから、今、Uber、Airbnb、メルカリといったCtoCのバリエーションが高い企業がいるんですよね。
これらはCtoCですけど、PtoPになったら、それが直接繋がっていきます。たとえば、ブロックチェーンのスマートコントラクト。第三者を信じる必要がないので、プログラミングされた内容で「Aさんからこの商品が届きました、なので、決済を実行します」とか、そういうのがどんどんできるようになるわけです。そこに仮装通貨は相性がいいですし、皆さんがインターネットが便利になったら戻れなくなるように、仮装通貨がどんどん便利になって行くので、これはインターネットの普及で当たり前のこと、自然なことだと思っています。PtoPの流れは止められません。
ICOは30秒で35億円調達した事例あもある
資金調達の手段もPtoP化してきています。ICOという言葉を皆さんもメディアで聞かれたことがあるかもしれませんね。ICOとは、資金調達をしたい企業とか、プロジェクトが独自の通貨を発行して資金調達をする手段のことです。今は法規制とかもなかなか整っていないのでやりたい放題で、本当に詐欺まがいのICOだとかプロダクトも結構たくさんあります。ただ、ICOはすごくイノベーティブで、ICO自体が悪いというわけじゃないんですね。使う人によったら本当に世界を革命できるような手段になります。
BATとか、Gnosisとか、Bancorとかは全部、ICOプロジェクトです。Mothersが14年かかって6.5million(約6.8円)調達するところを、BATは30秒で35億円を調達しました。なので、本当に秒速で資金調達ができる、というかたちになります。
何でこのようなことが起こるかというと、仮装通貨には国境がないからです。たとえば、このBATのプロジェクト。簡単に説明すると、「広告が、ウェブ上に出てくる広告がうっとうしい、なので、広告のないブラウザをつくります」というプロジェクトです。それに共感した人が「そのサービス使いたいから、最初に出資する」と言って、ここにいる皆さんも出資できるわけです。早い段階で出資できるので、そのトークンを持っていれば、このトークンが将来上場したときにそこで価値が上がったら利益を出せたりとか、サービス上で使えたりとか、そういうのがあります。それがICOです。こういうふうにベンチャーキャピタルではなく、直接資金調達ができるような方法も出てきています。
「寄付」という言葉への違和感を、ICOが解決してくれた
私は寄付のプラットフォームをやっているんですけど、寄付っていうもの自体に正直、違和感を覚えてくるようになりまして。「寄付」という言葉があること自体が、世界の社会問題を解決できていない証拠なんじゃないかな、と思うようになったんです。ICOのコンセプトを聞いたときに、ICOは寄付と投資のちょうどいいところ取りをしているなと思いました。
なぜかと言うと、たとえば、寄付じゃなくて「応援するよ」と言って、ICOでイーサリウムを投げたらA会社のAトークンというものをもらえます。ここのプロジェクトが成功したら、このトークンの価値も上がる。つまりWin-Winなんです。それこそが本当に本来あるべき姿だな、と思っています。なので、私は今、ヨルダンにビットコイン、ブロックチェーンのテクノロジーを教える、という会社をサポートしていて、おかげさまで1,000万近いビットコインが集まったんですけども、これはビットコインで寄付したので、ブロックチェーン上に履歴が残っているので、消せません。これがICOでしたら、今まで誠意だけで今までビットコインを投げてくれていた人にリターン、たとえば、トークンを保有できて、彼らがブロックチェーンを学んで、本当将来起業したときに何かそこでリターンが返ってくるとか。そういうWin-Winがあってこそ両方にとっていいんじゃないかなと思って。そこが私がICOにすごく興味を持ったきっかけです。