インターメディアテク2階常設展示風景 ©インターメディアテク
空間・展示デザイン© UMUT works
空間・展示デザイン© UMUT works
2019.5.24
「驚異の部屋(ウンダーカンマー)」とは
「驚異の部屋(ウンダ―カンマー)」って聞いたことがありますか?
16世紀ヨーロッパに始まる、支配者や貴族、後には科学研究者などが、世界のあらゆる新しい、珍しいものを集めた部屋の事です。
16世紀ヨーロッパに始まる、支配者や貴族、後には科学研究者などが、世界のあらゆる新しい、珍しいものを集めた部屋の事です。
そこは“何でもあり”の世界。
当時 “発見”された新世界の動植物、天文学など研究機器、サンゴや鉱物、絵画、時計や宝石細工など美術作品・・・膨大な数の珍品がところ狭しと並んだ、あやしい混沌の部屋。
これ、オカルトから科学、美術まで、収集によって当時の世界のすべてを把握しよう、という、その時代の「知」の形の一つなのです・・・という教養的なお話はさておき、「驚異の部屋」、想像するとちょっとわくわくしませんか?
これ、オカルトから科学、美術まで、収集によって当時の世界のすべてを把握しよう、という、その時代の「知」の形の一つなのです・・・という教養的なお話はさておき、「驚異の部屋」、想像するとちょっとわくわくしませんか?
好奇心でできた空間。
・・・貝やドングリ、セミの抜け殻、お菓子の包み紙やおまけのおもちゃを全部一緒に、大事に保管した机の引き出し。引き出しを開ける時、そして拾った石を観察して「大発見では!?」と思った時の秘密の高揚感。「驚異の部屋」の話を聞くと、私は小さい頃の「あの気持ち」がじわじわと蘇ってきます。
現在、「驚異の部屋」の収集物の多くは散逸(私の引き出しコレクションも散逸)。オーストリアなどで一部保存されていますが、気軽に行く、というわけにはいきません。
「驚異の部屋」は、後に学術の発展を経て、細かく研究・分類された現代の博物館展示へとつながっていきます。もちろん、たくさんの研究成果を教えてくれる現代の博物館は大好きですし、一般社会人たるもの、石や飴紙をごちゃまぜに集めているだけでは世を渡ってはいけない。でも一方で、この「驚異の部屋的なあの気持ち」は、なんだか忘れてはいけない、大事にしたいものの気がするのですよね。
「驚異の部屋」は、後に学術の発展を経て、細かく研究・分類された現代の博物館展示へとつながっていきます。もちろん、たくさんの研究成果を教えてくれる現代の博物館は大好きですし、一般社会人たるもの、石や飴紙をごちゃまぜに集めているだけでは世を渡ってはいけない。でも一方で、この「驚異の部屋的なあの気持ち」は、なんだか忘れてはいけない、大事にしたいものの気がするのですよね。
東京の真ん中で「あの気持ち」…東京大学の学術標本展示
「驚異の部屋」、見たいけど遠くて残念・・・という人にぜひお薦めしたい場所があります。
冒頭の写真をもう一度見てください。
東京駅のお隣、JPタワー商業施設KITTEの2・3階にある「インターメディアテク」。名称からは “The最先端IT技術”な世界が想像されるのですが・・・
東京駅のお隣、JPタワー商業施設KITTEの2・3階にある「インターメディアテク」。名称からは “The最先端IT技術”な世界が想像されるのですが・・・
木枠のケースには動物の骨、巨大な卵。手前に見えるのは爬虫類か?なんだか “最先端”とはかけ離れた、時代を遡った空気が・・・
ここは、昭和初期を代表するモダニズム建築として知られた、旧東京中央郵便局舎の一部を改装して作られた博物館。日本郵便株式会社と東京大学総合研究博物館の協働運営です。局舎時代の内装と、東大でかつて使用されていた調度類を利活用。一方で、常設展示はレトロでありながらモダンな雰囲気が感じられ、歴史的な遺産を現代の都市空間のなかで再生させるスペースです。