2020年3月4日 更新

20代がビジネス書を読んでいる!キーワードは「多様性」〈読者が選ぶビジネス書グランプリ2020授賞式〉

読者が選ぶビジネス書グランプリ2020の授賞式がさる2020年2月18日に行われました。2020年に読まれたビジネス書はどんなものだったのか? 受賞作を見て、今年のビジネスパーソンの意識のあり方を探ってみたいと思います。キーワードは「多様性の理解」です。

ビジネス書は、憧れの実業家が指し示す未来へのコンパス

出版不況だから、本の出版は減っている?と思いきや、出版年間2018によれば、2017年の書籍の出版点数は年間約7.5万冊で、平成元年に比べ約2倍に増えていました。まさに『FACTFULNESS 』が指摘するような思い込みでした。中でも好調なのはコミック、新書、ビジネス書の分野です。とくにビジネス書の分野では、2018年からヒット作が続いていますが、これらのヒット作が、本を読まない買わないといわれていた20代にリーチし、ビジネス書の売上を押し上げています。ヒットしているのは若い世代が共感する実業家の書き下ろしです。先の読めない時代に、真新しいサービスを生み出し、ネットビジネス界で活躍する実業家の姿は、駆け出しのビジネスパーソンには、まるで未来をとらえているように見えるでしょう。そして、彼らの力強い言葉に励まされ、働くモチベーションを得ているはずです。
今回の受賞作でもある『メモの魔力』は、ITエンタメサービスのCEO前田裕二氏が著した一冊。そして、本書を手掛けた編集者・箕輪厚介氏こそ、ビジネス書マーケットの牽引者でしょう。堀江貴文『多動力』、落合陽一『日本再興戦略』、佐藤航陽『お金2.0』、前田裕二『人生の勝算』など、ベストセラーを連発し、ついには自身の『死ぬこと以外かすり傷』
を出版。オンラインサロンの主宰、価格を買い手が自由に決められる本など、まさに革命児・天才編集者の名をほしいままにしています。そんな箕輪氏も授賞式に参列していました。「この本を100万部売ろうと決めて、いま50万部くらいなので、もっと売っていきたい」と意欲を見せました。箕輪氏は、たった1冊の本に対して、コミュニティを作り、イベントを作り、大きく「育てる」というイメージを持っていて、その「執念」は、他者を圧倒する熱量です。

ビジネス書の要約でスタートアップした株式会社フライヤー

ところで、読者が選ぶ「日本一のビジネス書」アワード主催は出版社や書店ではありません。主催は(株)フライヤー(グロービス経営大学院と共催)。ビジネス書の要約文をアプリに配信するITベンチャーです。10分程度で1冊の内容がわかることでビジネスパーソンの効率的な読書を助け、出版プロモーションにも寄与しています。

起業は2013年、代表取締役CEOの大賀康史氏はコンサルティング会社出身だそう。
大賀氏は読みきれないビジネス書の山を見ながら同僚と「ビジネス書の要約サービスがあったらいいのに」という雑談を交わします。その閃きが忘れられず、雑談仲間と一緒に、一週間後には会社を退職し起業にチャレンジしていたといいます。資本金600万円からスタートした経営は苦難の連続だったようですが、2018年には要約文をAIが自動で読み上げる新機能を追加し、2020年1月には会員50万人を突破、2022年には120万ユーザーを目指して右肩上がりに成長中とのこと。意識高いビジネスパーソンのSTAGE読者にはぜひ知ってもらいたいサービスです。

書物は豊饒の海です。ビジネス書には世界を変えるヒントがつまっています。来年も本アワードが盛況でありますように。受賞作の著者、編集者の皆様、おめでとうございます。
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