2019年9月18日 更新

小学生の英語、プログラミング教育導入で「学童保育」にビジネスチャンスあり

放課後の「学童保育」は少子化に逆行して施設数も児童数も増え続けています。2020年4月に実施される小学校の新学習指導要領の目玉は「英語」と「プログラミング」ですが、「英語で預かる学童保育施設」が次々にできるなど、まさにビジネスチャンス到来です。

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2019.9.18

「学童保育」は放課後に小学生が集まる場所

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「学童保育」は、小学校の空き教室、公民館、専用施設などを利用して、共働きやひとり親の家庭の小学生の児童を放課後に一定時間預かるしくみです。学童保育施設の厚生労働省での正式名称は「放課後児童クラブ」ですが、「児童館」「児童クラブ」と呼ばれていることもあります。市区町村によって制度や施設に違いがあり、自治体が運営するものも民間が運営するものもあります。
学童保育で小学生の児童は宿題をしたり、読書したり、テレビでマンガを見たりゲームをしたり、スポーツや遊びをして過ごしています。大人の指導員が勉強や遊び方を教えたり、けんかを止めたり、ケガをしないように見守ったりしています。当番を決めて花や野菜を育てたり動物を飼うところや、音楽やダンスや料理を教えているところもあります。
厚生労働省の統計では、全国の放課後児童クラブ数は1998年の9,729カ所から2017年の24,573カ所へ、19年間で2.52倍になりました。全国の小学校の数1,9628カ所を上回ります。登録児童数は1998年の34万8,543人から2017年の117万1162人へ3.36倍に増え、2017年時点では1万7,170人がその「待機児童」でした。少子化で小学生の全体数が減っている中で、放課後児童クラブの登録児童数は逆に伸び続けています。
毎日、午後に小学生が集まって、施設の数も登録児童数も増え続ける「学童保育」の場は、小学生がターゲットのビジネスを行う企業にとっては成長性のある「おいしいマーケット」です。小学生がいる家庭一軒一軒を狙うよりも、大勢の小学生がやってくる学童保育の施設を狙うほうが、効率的です。

2020年の新学習指導要領は大きなチャンス

うれしそうなバルーンの家族。

うれしそうなバルーンの家族。

そこへ2020年、大きなビジネスチャンスが訪れます。4月に小学校の新学習指導要領が完全実施され、その目玉は「英語」と「プログラミング教育」の授業が本格的に始まることです。小学生の親はみな気にしています。

英語は2歳早まって3、4年生で「外国語活動」の授業が始まります。英語に慣れ親しむことが目的で、「聞く」「話す」のコミュニケーションを中心に年間35時間の授業が行われます。5、6年生は現在も英会話や英語に触れる授業がありますが、授業数が年間70時間に増え、成績がつく教科になります。
「プログラミング教育(情報処理の初歩)」は独立した授業ではありませんが、算数や理科など各教科のカリキュラムにとり入れられます。プログラミングを実際に試しながら、コンピュータに情報の処理を行わせるのに必要な論理的思考力を身につけることが目的です。将来、AI(人工知能)など情報化の急速な進化に対応できるような人材を育てることを目指しています。

英語やプログラミングの授業が学校で始まったら、補習も行っている放課後の学童保育でもそれと無縁というわけにはいきません。親もそれを望んでいます。学童保育で英語やプログラミングに親しめるような取り組みはすでに始まっていて、そこに英会話学校やコンピュータ専門学校のような専門教育機関も関わって、教材や講師を提供しています。

「英語で預かる学童保育施設」が次々に開設

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既設の学童保育施設に「英語で遊ぶ」スタッフを派遣したり、友だちとゲーム感覚で遊べる学童保育専用eラーニング英語教材を販売するにとどまらず、自前で「遊びながら英語を学ぶ、英語で預かる学童保育施設」をつくって募集をかける企業も現れています。

個別指導塾、子ども向け英会話学校、バイリンガル幼稚園などを展開するやる気スイッチグループは英語学童保育施設「Kids Duo(キッズデュオ)」を全国展開し、今や民間最大の学童保育施設です。その中では友だちとも英語で会話をしながら遊び、英語漬けの環境の中で生活するという徹底ぶりで、親たちの間で人気は上々だそうです。

ピーアップが運営する「Kids Up」(東京都など首都圏で展開)は「英語体験型のプリスクール・学童保育」、アセゾネが運営する「Kids Passport」(横浜市青葉区)は「学童保育機能付きの英会話スクール」をうたっています。英会話学校大手のECC(大阪市)は「日本語禁止」で4年間で高校生レベルの英語力を身につけられる学童保育施設「ECC学童スクール」を2020年春から全国展開し、5年で100ヵ所設置を目指すと発表しました。
その他、学童保育施設にスポーツクラブやスポーツ用品メーカーがスポーツ指導員を派遣したり、楽器メーカー系の音楽教室が楽器演奏の指導者を派遣したり、さらに茶道、書道、詩吟から釣り、カラオケ、ボウリングまで、まさに「何でもあり」。小学校と比べて制約が少ない分、学童保育は企業から「将来のユーザーを開拓できるキッズマーケットへの重要なアクセスポイント」とみられています。
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