まつ毛も凍る、マイナス35度の世界
「一生に一度でいいから、オーロラを見てみたい」。そう思い立って気づけば数年。思い切って休暇をとって向かったのは、北極圏から約400km、オーロラベルトの真下に位置し、3泊で95%という世界的トップの鑑賞確率を誇るカナダ北部のイエローナイフ。
日本からの直行便はないため、成田からバンクーバー、さらに国内線をカルガリーで乗り継ぎ、向かいます。
カルガリーから北上していくと、視界はどんどん雪景色に。
イエローナイフに到着。この時点でマイナス25度。体感温度はそこからさらに10度低い、マイナス35度。日本から着ていったダウンジャケットでは、飛行機を降りた瞬間に全身が凍る感覚です。自分の吐いた息でまつ毛も凍ります。
イエローナイフでは、すべてが凍る
冬のイエローナイフでは、基本的にすべてのものが凍ります。私たちが普段、使っている冷凍庫がだいたいマイナス18度。それよりもさらに気温が低いわけですから、当然といえば当然です。
街中で写真を取りたくても、素手をさらしていられるのはほんの数秒。シャッターを押すのに時間がかかっていると、あっという間に凍傷のようになり、手の甲がひりひりと…。それに、寒さでスマートフォンのバッテリーが頻繁に落ちてしまうので、「歩きスマホ」は禁止しなくてもほぼ不可能です(笑)。
車を停めて買い物をしている間に寒さでバッテリーが上がってしまうので、多くの車にはこんなふうに電源コードが出ています。これを駐車場にあるコンセントにつないで、バッテリーが落ちないように温めておくというわけです。
外に置いてあるクーラーボックス。この中に入っているのは食材です。そのまま置いておくと食材が凍ってしまうので、クーラーボックスに入れて凍らないようにするというわけ。クーラーボックスの本来の用途とはかけ離れた使い方ですが、こちらではこれが常識です。洗濯物も、数分でカチンコチンに凍ってしまうので、当然、冬の間は外には干せません。