2019年3月18日 更新

有給休暇の義務化は4月から 時間単位で取得できればどう変わる?

4月から年次有給休暇の5日以上の取得が義務化されますが、消化の方法として2010年に導入された有休を時間単位で取得できる「時間単位有給休暇制度」があります。厚生労働省の調査では導入企業は18.7%にとどまりますが、導入事例やメリットに迫ります。

2019.3.18

「時間単位有給休暇制度」はどんな制度?

4月1日、「働き方改革」の一環として年次有給休暇の指定義務化が始まります。企業に対し従業員の年次有給休暇の年間5日以上の取得(消化)が義務づけられます。違反した企業は従業員1人当たり最大30万円の罰金処分を受ける場合があります。
厚生労働省の2018年度「就労条件総合調査」によると年次有給休暇の取得率は51.1%となっていますが、政府は「第4次男女共同参画基本計画」で、2020年までに年次有給休暇取得率を70%以上に上げるという目標を掲げていて、4月の指定義務化によってスピーディーにこの目標を達成させたいと考えています。
ただし、「5日以上の取得を義務づける」と言っても、必ず1日×5回ではなく、たとえば「午後に1時間だけ休み」というように時間単位で小分けにして有給休暇を取って、それを合わせて5日分にしてもかまわないことになっています。そんな時間単位で有休を取得できる制度を「時間単位有給休暇制度」といい、2010年4月の労働基準法の改正で初めて導入されました。
毎月末の金曜日、午後3時で終業にしましょうという「プレミアムフライデー」がいま奨励されていますが、勤務時間が8時間の会社で毎週1回、午後に2時間の有給休暇を取るとすると、4回で1日分になり、20回で義務づけられた5日分に達します。
まる1日の有給休暇が取りづらくて毎年、有給休暇を余しているような社員も、「週に1度の早帰り」でよければ有給休暇を取りやすく、取得率が上がります。企業もそれで罰金の支払いを免れたら、助かります。

パナソニックが導入して話題になったけれど

労働基準法第39条では、6カ月継続勤務して全労働日の8割以上出勤した労働者には10日間の年次有給休暇を与え、付与日数は勤続年数に応じて加算していくことになっています。そのうち、時間単位有給休暇制度を導入してそれを取れる日数は5日分が上限とされています。
導入するには労使の代表が話し合い、労使協定を締結して就業規則の有給休暇規程に書き加え、労働基準監督署に提出するという手続きが必要になります。
2018年4月に電機大手のパナソニックが導入して当時ちょっと話題になりましたが、他にはハウス食品、TOTO、帝人、花王、ソニー、キッコーマン、三井ダイレクト損保などの企業が導入しています。
しかし厚生労働省の2017年度「就労条件総合調査」によると、導入済みの企業は全体で18.7%、1,000人以上の大企業でも20.1%にとどまっています。それでも4月からの年次有給休暇の指定義務化によって、今年は導入企業が大きく増えるかもしれません。
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