「ハワディ・ハワード実験」が示した残酷な結果
実験が示したのは、成功と好感度は男性の場合には正比例し、女性の場合には反比例するということ。つまり「できる女性は嫌われる」。女性は献身的であるべきというようなステレオタイプが男性に、そして女性自身にも浸透した結果、働く女性が一歩踏み出すことは難しくなっているようです。
この問題を今すぐに解決するのは難しいですが、著者の体験としての解決策も紹介。それは、男性上司に意見を言う場合や交渉する際に、「私はそう思う」と個人として主張するよりも「私たちにとって有益」という集団のメリットを訴える言い回しをする方法。はっきりとモノを言い競争をする姿勢を和らげることで、いい結果を得るという手段です。
これは最初に紹介した「同じテーブルに座る」考えと相反するようにも思え、実際には微妙なさじ加減が必要なのかもしれません。ですが、女性に対するステレオタイプなイメージがすぐには改善されない以上、職場の男性との関係性に困っている女性は検討する価値があるのではないでしょうか?また逆に、男性は女性に期待する古いイメージを取り払い、フラットに接するように心がけたいものです。
出世は梯子ではなくジャングルジム!
よく出世は階段や梯子(はしご)に例えられますが、社会状況や転職率の上昇などを見ても、ひとつの仕事で人生を全うする人は少なくなっていくでしょう。そこで、女性はもっと自分が成長できるチャンスと感じたら飛びつく勇気を持ってほしいと著者は訴えます。
イメージは、登るルートがひとつだけの梯子ではなく、ジャングルジムのようにいろんなルートを経験しながら上を目指すこと。時にはリスクをとりながら自分の成長に賭けてみることも大切だといいます。
この例えは非常に秀逸。男性の自分にとっても参考になる言葉として、今後大きな決断に迫られたときなどに思い出したいと感じました。
いま日本は『女性活躍社会』を推進し働く女性のための法整備も進んでいますが、その一方で「女性が輝く社会へ」などのキャッチコピーに嫌悪感を抱く女性も多く存在するそうです。本書ではこうした微妙な男女の考えのすれ違いの原因についても考察しているので、男性にとっても非常に興味深く読むことができる内容だと感じました。