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旅するように働く。世界一周で気づいた「自分がやりたいことをやりたいだけやる」という生き方(清水直哉)

2015.8.31

世界一周を通じて知り合った数人の若者が集まり創業した世界一周団体「TABIPPO」。代表取締役の清水直哉氏は、齢26歳という若さで大好きな「旅」を生業にした。自分がやりたいことを仕事にした彼の人生を作ったきっかけとは何だったのか、世界一周のエピソードとともに話を聞いた。

■自分の価値観が変わっていく瞬間

−清水さんが、世界一周旅行に行こうと思ったきっかけはなんだったんですか?

理由はすごく単純で、「行きたいと思ったから」です。大学でサッカーをずっとやってきたけれど、就職活動がはじまって自分と向き合った時に、「別にプロサッカー選手になるわけじゃないのに、このままサッカーだけやっていていいのかな」という危機感が湧いてきたんです。それで、1回部活を休んで、1人旅をしてみようかなと思い、1ヵ月だけヨーロッパにサッカーを観に行くことにしたんです。

その旅行先で、偶然、今まさに世界一周をしている大学生と知り合って。その時「大学生が世界一周できるんだ!」というすごい衝撃を受けて、自分にも出来るんじゃないかとか、いつか自分もしてみたいなと思ったんですね。

それから色々調べたら、世界一周航空券っていうものがあって、40万円ぐらいで行けると知ったんです。色々考えた結果、結局、大学4年生の時に就職活動を辞めて、1年大学を留年して世界一周に行くことに決めたんです。

写真1

−世界一周旅行では具体的にはどんな国に行ったのですか?

3ヵ月という短い期間だったので、近場の東南アジアとか東アジアは外して、最初にインドに入りました。そこから、中東のヨルダン、イスラエル、エジプト、トルコ辺りを陸路でまわったあと、ヨーロッパに飛んで、しばらく色んな国に滞在して、そこからアフリカのモロッコに渡って、さらに飛行機でぐるっと南米に向かいました。バスで陸路を50時間位かけてペルー、ボリビア、チリと回り、最後にアメリカに行って帰ってくる、という流れでしたね。行った国としては14ヵ国ぐらいなので、まだまだ行きたい所はたくさんありますけど。

写真2
▲イースター島にて

−その旅を通じて思ったことや感じたこととは?

たくさんの世界一周旅行をしている人達と出会い、その人達との出会いを通じて自分の価値観が変わっていく瞬間を多く経験しました。今でもその時に知り合った仲間とこうして会社をやっているくらいですから、旅を通じて出会った“仲間”は自分にとって今でも非常に大きな財産だなと感じます。

−もっとも大きな価値観の変化は?

旅を通じて得た価値観の変化というのは、「人間ってもっとやりたいことをやったほうがいいんだ」と腹落ちしたことですね。

例えば貧困の国に行くと、やりたいことがやりたいけどできないという人がたくさんいるんです。インドではカースト制度があって生まれたときから位が決まっていたりして、学校にも行けないような子たちと会う機会があったんです。でもその子たちはその子たちなりにすごい人生を楽しんでいたんですよね。例えば、「学校に行きたい!」というような“夢”を持って人生を送っていたんですよ。その姿はすごくキラキラして見えました。

写真3
▲旅で出会った子供たちのキラキラした笑顔

一方で、世界一周旅行に行く前の僕も含めてですけど、日本で電車に乗ってなんだかつまらなそうに生きている人を見て、あんまり「やりたいことをやろう」と思って生きてないんじゃないかなって思ったんです。

日本って、バイトをすればご飯を食べていくくらいのお金は稼げて、餓死することもない。自分が頑張ればある程度の高校も行けるし大学も行けるし、ある程度の企業も学力に関係なく入れる。結構やりたいこと何でもできる環境なんですよね。

あとは、日本のパスポートだと世界中どこでも行けるんですけど、そうでない国もあって、旅先で会った他国の人に「お前のパスポートはいいな。俺はその国に行きたいけど行けないんだ。」と言われたりすることもありました。

そういう色んな人に会っていくうちに、「あぁ、なんで日本人ってこんなにやりたいことやらないんだろう」ってすごく不思議に思って。だから「自分は世界一周から帰ったら、もっとやりたいことをやろう」って思ったんです。

■やりたいことを、やりたいときに、やりたい仲間と、やりたいだけやる

−世界一周旅行に行く前と後では、仕事というか、働くことに対する考え方は変わりましたか?

そうですね。働くことに求めるものが大きく変わりました。最初は給料がたくさんもらえるところ、とにかく大きい企業という目標で就職活動をしていましたが、帰国してからは給料より「やりたいことをやるためにどういう企業を選ぶか」という気持ちに優先順位が切り替わったんです。

結局、お金ってやりたいことをやるための「道具」でしかなくて、目的にするものではなかったなと。だからフットワークが軽くて、自分が好きな“旅”を仕事にするのが叶えられそうなベンチャー企業に入社しました。

−つまり働く目的が変わったということですね。

そうですね。僕がやりたいことの中のひとつに“旅”があって、僕がポジティブな影響を与えてもらった経験を、周りにいる友達などにしてもらいたいなって思ったんです。その延長線上で、日本の若い人がもっと当たり前のように世界に旅してくれたらいいなという思いが、働くこととリンクしたんです。

「いいな」と思うから広めたい、目の前にいる人に伝えていきたい、というのが最初のきっかけで、TABIPPOを仲間と一緒に立ち上げようという話になって、この団体を作ったという形です。

やりたいことを、やりたいときに、やりたい仲間と、やりたいだけやる。そういうのが夢なんです。だから、毎年やりたいことは変わっていきますけど、柔軟に、常にやりたいことをやれる自分でいれたらいいなと思いますね。

■10年後も旅と仕事を両立させていたい

写真4

−清水さんの「やりたいこと」ですが、具体的には現在、どのようなことを行っているのですか?

旅してみてわかったのが、世界一周に行きたいけど行き方がわからない人だったり、旅でよい経験を積んだのに就職活動の時期を逃してうまく就職できなかったりする人がたくさんいるということ。だから、若者が旅する文化を創るだけでなく、旅で人生が豊かになっていく仕組みを創っていかないといけないなと思っています。旅の経験を上手に活用できるサポートが必要だと感じたんですね。僕達はトラベルコミュニティプラットフォームと呼んでいるんですけど、実際に僕らのコミュニティにいる旅人たちの写真を使って写真集を創ったり、旅祭という野外フェスをやって世界一周旅行をしたい人たちの背中を押したり、旅した経験を実際にどう活かしていいのかサポートするような、そんなプラットフォームを作っています。

−10年後はどんなことをやりたいですか?

難しい質問ですね(笑)。活動を始めて5年くらい経って、自分たちの周りが変わっている感じはするんですけど、世の中が変わっているのかと言われたらまだまだ全然変わっていないなと思っているので、それがちょっとでも目に見える形になっていたらうれしいなと思います。その頃にはもしかすると他の「やりたいこと」を見つけているかもしれませんが。

あとは、自分たちの働き方や生き方を、周りの人たちが見て、ちょっとでもポジティブな影響を与えられたらいいなと思っているので、これからも旅と仕事を両立させるチャレンジングで新しい働き方を続けて行きたいです。10年後も僕達が「そういう働き方ができているんだぞ!」と体現していきたいと思います。

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▲(株)Tabippoが制作した「UYUNI iS YOU」
 の表紙にもなったウユニ塩湖の絶景

世界一周を通じて肌で感じたのは、日本がいかに自由の国であるかということ。「やりたいことができる環境」に生まれたという“可能性”に気づき、それを体現している清水氏。

そんな彼は、現在家具がほとんど無いシェアハウスに、旅人13人と暮らしている。まるで日本でバックパッカーをしているかのような、フットワークの軽い自由なライフスタイルだ。

「お前最近、旅してないね」という“旅する文化”が浸透して、10年後、「やりたいことをやりたいだけやれる日本人」がこの街にあふれていますように。

お金とは、
やりたいことをやるための「道具」。(清水直哉)
株式会社TABIPO代表 清水直哉さん

1987年3月9日、群馬県生まれ。東京学芸大学でサッカー漬けの日々を送るが、人生に悩み、世界一周の旅へ。旅で出会った同世代の仲間とTABIPPOを立ち上げ、創設から今まで代表を務める。卒業後はWEB広告代理店の株式会社オプトへ入社、ソーシャルメディア関連事業の立ち上げに参画。コンサルティング支援、新規事業の立ち上げ、最年少マネージャーの経験などを経て2013年11月に退職。TABIPPOにて創業を果たす。トマトとカレー、コーラとビールが好き。

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