1. ニュース・ソースは複数から 〜トランプ大統領とFBIの主張のどちらが正しいの?〜
私の見ている範囲ではありますが、ここ数日の日本国内の新聞やニュースでは「トランプ大統領が証拠隠滅」、「ロシアンゲート疑惑」と大統領側に問題があるような少し偏った報道が多いように感じます。でも、このようにすごく大きな政治ニュースの場合は、多面的に真実を判断できるように複数のニュース・ソースから情報を集めるようにしてほしいと思います。というのは、実は海外では、この状況になってもコミー長官の資質を問うようなニュースも多数存在しています。日本ではあまり報道されていませんが、コミー長官が、2016年の大統領選挙の最中に民主党候補のヒラリー氏を電子メールの私用問題で「刑事訴訟にならない→証拠が出たので捜査再開→でもやはり刑事訴訟にならない」と二転三転したのは有名な話です。この一連の捜査が大統領選挙の結果に決定的な影響を与えたという意見もあります。今回、トランプ大統領は、窮地に追い込まれて長官を解任したという説が真実かもしれませんが、さすがに側近に相談なく独断で解任するとは考えにくいのでそれ相当の理由が背景にはあるのではないかという目線でニュースを追いかけてみても損はないかもしれません。
1. 同じような事例ではその背景を知る 〜ウォーターゲート事件の時と経済環境は同じなのか?〜
経済や投資に関係している人は、この解任劇が「株価に影響があるのか?」と気になるものです。また、投資経験の長い人は、このような時は「事例」から学びリスクを回避していきます。今回も事例を調べる方が多いのでないかと思いますが、その事例を調べる際に、気をつけていただきたいことは何でしょうか。
記事の見出しやコメントだけを見ていると、「ウォーターゲート事件の影響でダウ工業平均株価は年末までに約40%程度下がった」などと見かけます。頭に「株価が暴落しそう」とインプットされそうです。しかし、その当時、1974年の株価下落はこの事件だけが影響したわけではありませんでした。例えば、中東の地政学リスクを背景とした「オイルショック」などが大きく影響しています。今回の「ロシアンゲート疑惑」は、「ウォーターゲート事件」と違い国境をまたがった疑惑という点では、それが真実であれば確かに大問題になります。しかし、経済や株価には、このような疑惑と共にその時代の背景が複数影響を与えていることを是非再認識してほしいと思います。
1. 大きなニュースによって埋没したニュースを見逃さない 〜米国の4月の小売売上高の発表に気が回りましたか?〜
大きなニュースが流れると大事なニュースを見逃しがちです。4月28日に発表になった米国の1〜3月期GDPは小売売上高の不振で大幅な下方修正になったばかりでした。ということで、5月12日に発表になった米国4月の小売売上高は本来であればもっと注目が集まっていいはずでしたが、市場では極東の地政学リスクとFBIコミー長官解任(5月9日)に注目が注がれ小売売上高にはあまり反応がありませんでした。
では、実際の4月の小売売上高の結果がどうだったかと言えば、3月の小売売上は−0.1%減から+0.2%増へ改定され、4月は前月比0.4%増、前年同月比4.5%と少し米国経済に安心感を持てる内容でした。このような経済指標は、一時的にインパクトのある政治のニュースとは違い地味ではありますがじわじわと経済に影響を与えるものです。大きなニュースによって埋没したニュースがあるのではないかと常に意識をして日々過ごすようにしましょう。
さて、今日は3つのポイントをお伝えしましたが、最後にちょっとした小ネタで締めたいと思います。映画でいつも混乱してしまう「FBI」と「CIA」の違いをすごく簡単に。
一方でCAIはというと、1)国内外での情報収集活動、2)国家の機密情報の保持などの情報業務、3)敵対国の弱体化、つまり諜報活動です。映画でいうと「ミッションインポッシブル:トムクルーズ主演」、「陰謀のセオリー:メルギブソン主演」です。