ミスやトラブルも「仕組み」で対応する
仕事やミスにトラブルはつきものです。どんなに注意深く作業していても、思ってもいないところで間違いが見つかったり、あるいは自分たちにまったく落ち度がなかったとしても、何かのトラブルに巻き込まれてしまうこともあります。いくら頑張っても、ミスやトラブルが起きる確率をゼロにすることはできないのです。だとしたら、トラブルへの対策になるのは「仕組み」です。
- ミスやトラブルが生じる可能性をできるだけ少なくする「仕組み」を作る
- ミスやトラブルが生じても、それを早い段階で発見できる「仕組み」を作る
- ミスやトラブルが生じたときにもすばやく対応できる「仕組み」を作る
あなたが経営者やマネージャーだとして、「ミスをなくせ」と叱責してもミスはなくなりません。むしろ、ミスが起きた原因はすべて自分のつくった「仕組み」にあると考えます。他人のせいではなく、自分が原因と考え、そして次に、ミスの起こらない「仕組み」作りにエネルギーを注ぐことで、より向上する会社になっていくはずです。「がんばります」という具体性のない言葉ですませたり、「彼は几帳面だから大丈夫」などと個人の能力に頼りきるのはやめましょう。ミスやトラブルに対応する「仕組み」を作ることが、いちばんの対策なのです。
「仕組み」が使われる「仕組み」を作る
せっかく「仕組み」を作っても、使われなければ意味がありません。チームや会社がうまくいってないと感じたら、特定の要素や個人のせいにする前に、まず「仕組み」を見直してみることをおすすめします。「仕組み」に原因が見つかったら、まだ改善の余地があるということ。試行錯誤を繰り返すなかで、自分や自分の組織に最適な「仕組み」をカスタマイズしていくのがよいでしょう。
また、「仕組み」は常にアップデートすることも欠かせません。「仕組み」をみんなに使わせるための「仕組み」も同時に考える必要があります。株式会社武蔵野という会社では、部長以上の役職につくと、年に1回か2回、必ず1週間程度の休暇をとらなくてはならない決まりがあるそうです。自分がいないときでも部下が代わりに同じ仕事をして、チームが問題なくまわるよう、仕事内容をすべて「仕組み化」しておくことが上司の仕事のひとつという考えからで、実際にまわるのか確かめるために何があっても休みをとらせるわけです。
こうすれば、チーム全員が「仕組み」を使うことになります。「仕組み」がきちんと遂行される「仕組み」が作られているのです。
やる気も「仕組み」で維持できる
組織や会社を運営していくには、モチベーションを維持することも大切です。しかし、やる気は時間とともに下がっていくもの。個人の「意志の力」にまかせて、何もしないでいたら、部下のやる気はどんどん下がっていくばかりでしょう。前にご紹介した「仕組み」の黄金ルールにあるように「意志の力」に頼るのではなく、「仕組みの力」に頼りましょう。
アイデアとして1つは「小さな目標を作る」こと。例えば、早起きを続けようと思ったら、自分でポイントカードを作りルールを決めます。シールが10枚たまったら、自分に何かご褒美を用意し、ポイントカードにシールを貼っていくのが楽しくなる習慣を作るというわけです。もう1つ、「他人のパワーを使う」というもの有効です。スポーツジム通いが続かない場合、パーソナルトレーナーと契約して「行かざるを得ない仕組み」を作ったり、友人や知人に公言し、「言ったからにはやらないとかっこ悪い仕組み」にするなどです。
どんな優秀なリーダーのもとでも、モチベーションは自然と低下していくものです。
「仕組み」があれば、意志や根性に頼らず継続できます。頼るべきものは、「人」ではなくて「仕組み」なのです。