2019年2月26日 更新

生まれながらの弱々しさが起業に役立った。<高橋晋平・おもちゃクリエーター/株式会社ウサギ代表>

累計335万個以上売り上げた玩具「∞(むげん)プチプチ」の生みの親であり、現在は株式会社ウサギ代表・おもちゃクリエイターの高橋晋平さん。一般的な起業家のイメージとは少し違うかもしれません。人生を楽しく、おもしろく生きていくコツはあるのでしょうか?

2018.11.13

追い詰まった深夜、梱包用プチプチとの出会いがヒット商品に

STAGE編集部:「∞(むげん)プチプチ」が生まれたきっかけを教えてください
僕は「バンダイ」という玩具メーカーのボードゲーム担当で、ゲームのルールメイキングを勉強したり、企画を考えたりしていたんです。でも、当時はニンテンドーDS全盛期。ボードゲームは売れないから、流通でも社内の営業でももういらないみたいな状況でした。
上司は年間ボードゲームの売上目標のために企画を出せと言うんですけれど、営業がもう売りたくないって言ってて、その間に挟まれて、どうしろちゅうねんみたいな。
企画がさっぱり通らない状態が続いて、温厚な私も軽くプッツンしてしまって(笑)。
当時、ガラケーのストラップ売り場が拡大していたので、「じゃぁ、もう、携帯ストラップ出してやるよ!」と。で、ネタ探しのために企画会議の前日の深夜に社内をうろついていたら、玩具梱包用のプチプチの大きいロールを見つけました。
夜中に見たからか、プチプチの粒がボタンに見えてきて。これボタンで作れるんじゃないかとバーーッて書いて出したのが「プチプチストラップ」という企画だったんですよ。ゲームの企画会議でしたから、出席者みんなが、絶句、ノーコメントみたいな結果でした。
STAGE編集部:最初から企画が通ってたわけではなかった。
でも僕は、このネタが気に入ってきてしまって、企画をこっそり進めていたんです。
ある日、部長に商品化を申請する会議というチャンスがあったんです。その前に課長に許可をもらおうと、プチプチの企画の商品化を申請のプレゼンをしたいと言ったら、意味が分からなすぎるからダメだとなったんです。その課長は結構怖い上司だったので、今までの僕だったら引き下がっていたんですけど、なぜかこの企画を誰にも見せずに終わらせるわけにはいかないと思って食い下がったんです。その会議にはいろんな関係者が出席するので、そこでこの企画を問いたいという気持ちを引っ込められなかった。
それで、どうしてもプレゼンをしたいと課長にお願いすると、課長はしばらく黙って考えた末、ある一つのアイデアをくれたんです。実はこのアイデアが、プチプチ企画の成功を決定づけた。
STAGE編集部:どんなアイデアが出たんですか?
課長は、「このプチプチ企画は、プチプチして感触と音を楽しむストラップなんだけれど、100回に1回「プチ」じゃない音を出そう」と言ったんです。例えば犬の鳴き声とかおならの音とか、セクシーボイスみたいな変な音を入れて、内蔵スピーカーから100回に1回違う音がでる機能にしようと。そうすると、どうなるか気になって、変な音がでるまでずっとプチプチして100回押す必然性が出ますよね。100回目で変な音がでたら、次の音も気になって101回目を押してしまいたくなる。結果ずっと押し続けるという仕掛けになっているんです。
もし音が1種類だけだったら、みんな3、4回しか押さずに飽きていたかもしれない。100回に1回別の音を入れようというのはすごいアドバイスで、課長はものすごくセンスのある人だったなと思います。僕はこのプチプチ企画の成功を計算できていたというより、ただ感覚で面白いと思っただけだったと思います。
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