日本とEUの間で「天然塩」の関税が撤廃
昨年7月、日本と欧州連合(EU)はEPA(経済連携協定)の締結で合意し、今年2月1日に発効しました。その時、大きく報じられたのは「欧州産ワインが安くなる」でした。相互のワインの関税を即時撤廃し、実際に店頭では欧州産ワインの値段が下がりました。
しかし、日本とEUの間で関税が即時撤廃されたのはワインだけではありませんでした。「塩」もそうです。正確にはEUへの輸出は全て関税即時撤廃。EUから日本への輸入は「精製塩」は11年目に関税撤廃、「天然塩」などそれ以外は即時撤廃となっていました。
一方の「天然塩」は一般に地名などをつけた独自のブランドなどがつき、精製塩より価格が高い塩です。日本では海岸の塩田で海水を乾燥させるなど古くからの製法でつくられます。豆腐の製造や雪道のすべり止めに使われる塩化ナトリウムの「にがり(苦汁)」や、カリウム、カルシウムなどのミネラル分が含まれ、塩化ナトリウムの含有量は80%程度と低くなっています。
日本では2008年施行の「食用塩の表示に関する公正競争規約」で、商品名や商品の説明文で「天然塩」「自然塩」と表示してはいけないことになりました。その代わり、「伯方」(愛媛県)、「酒田」(山形県)、「赤穂」(兵庫県)など産地ブランドがよくつきます。「粗塩」「荒塩」「自然海塩」のような表示になっていることもあります。
日本は実は塩の輸入国で、World Mineral Productionの統計や財務省の貿易統計によると2017年、国内生産量92.6万トン、国内消費量847.4万トンで、約755万トンを輸入しました。輸入先の第1位はメキシコの318万トン、第2位はオーストラリアの304万トンで、その2ヵ国で輸入量の82.4%を占めます。しかし、塩の輸入量のほとんどは化学工業(ソーダ工業)用で、食用の塩は国内生産だけでほぼ自給できると言われています。それでも、グルメな人は世界の「おいしい塩」を求めています。
欧州各地に岩塩、海水塩の名産地がある
海水を濃縮・乾燥させてつくる海水塩のほうはフランスが本場で、特に「カマルグ」「ゲランド」「イル・ド・レ(レ島)」が世界的に有名です。温泉に湯の花ができるように、塩分が濃くなった海水には「フルール・ド・セル(塩の花)」という白い塩の塊ができますが、それをていねいにすくい取ったものは潮の香りが残りミネラルが豊富な最高品質の自然海塩として、世界中のシェフやグルメの間でひろく知られています。
それ以外も北イタリア・チェルビア産の「サルフィオーレ」や英国王室御用達の「マルドンシーソルト」など、EU諸国でさまざまなブランド天然塩がつくられています。それらは関税0%で日本市場に入り始めました。
宮古島「雪塩」が日本の天然塩輸出の先駆者
(参考URL)
http://www.customs.go.jp/kyotsu/kokusai/news/eu_siryou.pdf
https://lowch.com/archives/8036
https://matome.naver.jp/odai/2133726549695100401
https://welove.expedia.co.jp/destination/europe/france/24960/
https://www.shiojigyo.com/siohyakka/number/sufficiency.html