あなたはポイントカードにコントロールされている!?

泉正人の書籍『お父さんの「こづかい」は減らすな』より特別編集編をお届けします。

ポイントカードは本当にお得なの?

買い物のレジで「ポイントカードはございますか?」と聞かれて、うっかり忘れたことに気が付くと損をした気持ちでいっぱいになる人は多いことでしょう。そんな手抜かりがないようにと、現代人のお財布はポイントカードでパンパンです。

ネットショッピングでも同じです。たとえば、ネットショッピングサイトのポイントが貯まっていて、有効期限切れが近かったら、余ったポイントで何か買わなければもったいないと考えますよね。商品を検索して今すぐ必要なものがなくても、いずれ使うものをとりあえず購入したり、さらに送料無料にするためにポイントに現金を上乗せして別の商品を追加することもあるでしょう。こうして買い物を済ませると、また新たなポイントが加算されて、自分ではポイントを使って賢いショッピングができたと大満足なはずです。

ポイントカードは貯まったポイントの分だけ割引きを受けられるというサービスです。賢く使えばお得に買い物ができますし、ポイントが貯まるワクワク感もあります。そんなメリットばかりの仕組みに見えますが、デメリットもあることを頭に入れておくべきでしょう。

  • ポイントカードがあるせいで、合理的な判断ができなくなってしまう。
  • ポイントに釣られて、お店選びを制限されたり間違う可能性がある。

わずかなポイントがつくだけのカードに、自分がコントロールされてるなんて思いつきもしませんよね。

お店の経営者の立場からポイントカードを考えてみる

ポイントカードをお店側、つまり別の視点から考えてみるとよくわかります。

  • ほかのお店ではなく、自分の店だけで買い物をしてもらいたい。
  • 商品の購入機会を増やしてもらいたい。
  • 多くの商品を購入した時のお得感を強調したい。

こうして考えると、消費者側からの視点ではわからなかったポイント制度の意図が浮かび上がってきます。言い換えるとしたら、消費者は5円、10円の割引きを受けるかわりに、「お店の選択の自由」と「商品購入の気軽さ」を失っているとも言えます。

このように物事を一面だけではなく、消費者側と販売者側の二面から見ることを「両面思考」と言います。物事を両面から考える癖をつけると、目の前の利益に左右されずに正しい判断ができるようになります。ぜひ、両面思考をする癖を身につけるようにしましょう。

わずかなポイントと引き換えに失う最大のものとは!

ポイントでの割引目的で、つい気軽に作ってしまうポイントカードですが、実はあなたの大切な個人情報をまるごと企業に教えてしまっています。カードの仕組みを通じて、企業は

ユーザーの年齢や性別、居住地、職業といった属性情報はもちろん、いつ、どこで、何を、どんな決済手段で買い物をしたか、どんな嗜好、生活スタイルなのかといったデータまで、事細かに収集しているのです。そして、たくさん集めて分析し、ターゲットを絞ってダイレクトメールを送ったり、ニーズをとらえた商品開発を行ったり、効果的なマーケティングを行うのに利用しています。もちろん企業が集めた情報は、法律に則って厳密に管理されることになっていますが、それも保障があるわけではありません。

なにより、あなたに届いているダイレクトメールはあなたが欲しいものをデータ分析したうえで送られてきたもので、あなたはそれに釣られて買い物をしてしまっている……これは非常に怖いことではないでしょうか。

ポイントカードをたくさん持っていると、不自由になります。ポイントに影響されて余計なものを買って損をしたり、身に覚えのない会社からのダイレクトメールが送られてきたり、時には情報漏えいの被害を受けたりと、イヤな思いをするデメリットのほうがはるかに大きいのです。メリットとデメリットを理解したうえで持つカードは必要最小限にとどめ、ポイントカードにコントロールされないショッピングを賢く楽しみたいものですね。