海外での暮らし方は?
ひとくちに海外暮らしといっても、その暮らし方はさまざまです。長期で生活拠点を海外に移す、一定期間だけ暮らしてみる、移住先で仕事をする、移住先では旅行の延長としてあちこち観光する……など。
どんな暮らし方をするにしろ、お金が必要なのは日本での暮らしと同じです。しかしながらその金額は滞在先や期間、そして暮らし方によって異なります。というのも、物価も違えば社会保障も日本のそれとは異なります。
また、いくら物価の安い国だとしても、毎日ゴルフ三昧やお出かけばかりの生活で支出ばかりしていては、やはりお金がかかって仕方ありません。
中長期の滞在にはビザが必要
行き先国によって、短期(一般的には3カ月以内)の観光目的であれば、ビザが不要という場合が多いものの、中長期の滞在となれば専用のビザが必要です。
ビザの種類ごとの滞在期間や条件などは国によって異なりますが、通常は「働いていいビザ」と「働いてはいけないビザ」があります。どのビザを取得するかによって、滞在中の生活費の準備も変わりますからしっかり確認しておかなければなりません。
また、ビザを申請する際に「経済証明」を提出するのが一般的。経済証明は、滞在期間中(ビザの有効期間中)その国で自力で暮らしていけるだけのお金(預金残高など)があることを証明するためのもの。
具体的な金額は国ごと、ビザごとに異なりますが、一般的には「働けないビザ」のほうが「働けるビザ」よりも多くの高額の経済証明を求められます。移住を計画する際には必ず確認しておきましょう。
滞在中のお金の管理
滞在先で働かないなら生活費は日本の預貯金から支出することになりますね。中長期で滞在するなら現地の銀行口座を開設し、日本の銀行口座から送金する方法もあります。
しかし頻繁に海外送金をしていると、為替手数料や銀行への手数料が多くかかってしまいます。銀行にもよりますが、海外送金は送金する側の日本の銀行だけでなく、受取側の現地の銀行からも徴収される場合があります。最近では一部のネット銀行など比較的低めの手数料でサービス提供していますので、そういった銀行を調べておくのもいいでしょう。
クレジットカードやデビットカードによる決済ができれば送金手数料の心配はありませんが、きちんと引き落しが出来るよう、常に口座残高の把握をしておくことが大切です。
病気になったときのお金
短期でも中長期でも、滞在先で病気やケガをしたときのことも考えておかなければなりません。現地の公的医療保険制度があるか、取得するビザで加入資格があるかなどを確認しておきましょう。
また、たとえ医療保険に加入できたとしても医療費そのものが高い場合もあります。外務省の「世界の医療事情」などで滞在先の医療事情を事前に確認しておきましょう。
加えて、言葉が理解できない不安や、病気になった不安から、日本の医療機関で治療を受けたいと考えることもあるものです。その時の対策も考えておけば安心です。
観光や留学など、比較的短期の滞在なら日本の「海外旅行保険」に加入しておけば、日本語でのサポートが受けられます。もしくは、日本に住民票を残し日本の健康保険に加入し続けるということも選択肢のひとつです。ただし、この場合は健康保険、年金の保険料や税金の支払い義務は残りますので、事前に口座振替などの手続きしておくことが必要です。
将来の年金のことも忘れずに!
日本に住所があれば、60歳まで国民年金保険料を支払う義務がありますが、日本に住所がない場合は任意です。つまり、国民年金保険料を払わなくてもいいということ。ちょっと助かる気がしますね。
ただし、年金保険料を払わなくてもいいけど、65歳から受取る年金もその分少なくなるということを忘れずに。
さらに言えば、これまで国民年金に加入していた期間が10年に達していなければ、将来の年金はまったくもらえません。これまで加入していた期間があるのなら、掛け損にならないように海外移住をする前に、きちんと手続きをとっておきましょう。
「海外転出届」を出しておけば、将来の年金計算の際に、年金額には反映されないものの、年金受給資格に反映する「カラ期間」として取り扱ってもらえます。この場合は保険料を払う必要がありません。ところがこの方法では、前述したような「日本に住民票を残し日本の健康保険に加入し続ける」ことはできません。
日本に住民票を残すなら、年金保険料を払わなければ「未納」とされて年金受給資格に反映されません。そのため、将来年金をもらうためには、任意で加入しておかなければなりません。なお、すでに加入している期間が10年以上ある場合でも、年金を少しでも増やすためには、はやり任意加入しておきたいものです。
海外暮らしをしようとすると、お金のことで考えるべきことがたくさんあって面倒に思うかもしれません。でも夢を描くのは楽しいもの。憧れを現実にかえるために、少しずつ、早いうちから準備していきましょう。
ただし、ビザの種類や条件などは、どの国の場合でも随時変更されるものです。定期的にチェックしておくことも大切です。
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