「子どもを望まないのになぜ結婚するのか」 DINKS妻がお答えします

DINKS妻がそっと教える幸せ術 
共働きで自ら望んで子どもを持たない夫婦のことをDouble Income No Kidsの頭文字をとってDINKS(ディンクス)といいます。これまで「子どもを望まないのになぜ結婚したのか」と聞かれることが多かったのですが、結婚して約10年、1つの答えにたどり着きました。
2018.8.31

いまさらながら結婚とは何なのか考えてみる

結婚して夫婦になったカップルと結婚していない同棲カップルの大きな違いは「戸籍」が一緒か別かということです。結婚して戸籍が一緒になる、つまり法的に家族になることで、様々な社会的制度の対象になることができます。
結婚は「紙切れ一枚を出すだけのこと」などと揶揄されることもありますが、その紙を一枚出すだけで、扶養控除などの税務上の優遇を受けらますし、有事の際には家族として傍にいることができるようになります。戸籍がひとつになることで様々な優遇が受けられる制度、それが一般的に言う「結婚」です。

「子どもを望まないのになぜ結婚したの?」という疑問

付き合っている相手のことは大事に思っていてずっと一緒にいたいけれど、もう少し遊びたい、自由でいたい、仕事を続けたい、そんな理由で結婚をしない方も多いでしょう。

子どもをもたないDINKS婚は、(誤解を恐れずに言うと)それらをすべて叶えることができます。好きな相手と一緒にいられて自由もあって、まさに望んだことがすべて手に入るのに、どうして多くの方が私たちに「なぜ結婚したのか」という疑問をもつのでしょうか。

DINKSは、男女がふたりきりで生活しているという意味では、同棲カップルとまったく同じです。多くの人は(私も含めて)責任を負うということから逃げがちですので、男女が暮らすだけなら法的に責任を負う必要がない同棲の方が楽でいいじゃないかと考えるのは理解できます。だから「なぜ結婚したのか」と聞かれることが多いのです。

結婚をしたくない本当の理由

たとえば知人にお金を貸す機会があったとします。口約束だけで貸す場合と、借用書(契約書)を作って貸す場合、どちらがきちんと返済される可能性が高いでしょう。おそらく借用書を書いた後者のケースの方が、返済期限内に戻ってくる確率が高いと思います。これはなぜでしょうか。

人は「契約」があった方がそれを実行しようとするものです。そして結婚もそれと同じことだと私は考えています。

同棲カップルは、お互いに大事に思っていても、法的には何も約束されていない「仲のいい他人」です。しかし、婚姻届(契約書)を出すということは、法的に「家族」になり、人はそこに責任を負うようになります。不貞があれば慰謝料の対象になるなど法的な責任もありますし、世間からの扱いも「夫だから」「妻だから」と、自然と家族に対する責任をもつのが当たり前だという目で見られます。そして自らもそう考えていることが多いのです。
つまり、自由でいたいから結婚したくないというのは表面的な理由で、深層心理は「相手への責任を負いたくない」ということではないでしょうか。

「相手への責任を負いたい」結婚を選択した20代の私

ではどうして子どもを望まない私たちが結婚したのか。夫とふたりきりで暮らして約10年、振り返ってみると、それは「相手への責任を“自ら”負いたい」と思ったからにほかなりません。
彼とこの先一緒に生きていくことを考えた時に、何かあったら私がこの人を守ろうと自然に思えました。極論を言うと、将来彼が最期を迎える時には、私が責任をもってそれを見送り、喪主も立派につとめようと思っています。
20代で婚約してこんなことを考えるのはなかなか変わり者かもしれませんが、これがDINKS婚を望んだ私が、同棲ではなく結婚を選択した理由です。
結婚とは、相手の人生の責任を負うことです。これはとても重い責任です。責任を持つことが絶対的に正しいとは思いませんが、お互いが「相手への責任を負いたい」と思い合える関係性は、とても素敵だと思いませんか?
事実婚に対する制度も整備されつつありますし、家族像も多様化しています。カップルごとに生き方を選択することが普通になる時代がいつかくるかもしれません。
そんな時代がくるまでは、これからも「子どもを望まないのになぜ結婚したの?」と聞かれることもあるでしょう。その時には、「夫の喪主をしたいから」と胸を張って答えようと思います。