01 自分の弱さを認める
まずは、自分を認めること。
それも、自分の弱さを認めること。
それがぼくの思考の、根底にあります。
だれもが先が不安になることがあります。
だれもが壁にぶつかることがあります。
そして、ぼくは強く見られることも多いですが、そうではありません。
自分の弱さを自ら認め、不安や壁を乗り越えながら、夢を達成するために自分を信じ続ける、という事を日々意識しています。
02 新しい価値観を楽しむ
ぼくがイタリア留学をした18歳の時。
日本で培ってきた常識や正解が、他の国では全然違う、というショックを受け、新しい価値観を初めて知ることになりました。
それをきっかけに、自分が知らなかったことでも、少しでも興味を持ったことに対して、何でも試してみることにしました。
語学、食文化、外国人とのコミュニケーション、資産運用など……。
とにかく、今の常識にとらわれることなく、興味をもち、少しでも心がワクワクしたら、経験してみる習慣が身につきました。
その習慣のおかげで、ベルギーという日本人のほとんどいない離れた国で、日々ワクワクを感じ、日々挑戦し、問題にぶつかれば解決し、その結果、新しい価値観を身につけていくという楽しさを覚えたのです。
03 10年後のビジョンを描き、今の自分にできることを考える
10年前にぼくが感じた「10年後に世界で活躍するために必要なもの」は、語学と金融でした。
世界で活躍したいという思いがあり、『ゴールキーパーとして海外で活躍するには、指示を出すための語学が欠かせない。』と思い、学生時代から語学の勉強に力を入れはじめ、プロになってからも継続しました。
そして重要なもう1つ、世界で活躍し続けるためには、金融を学ぶ必要がありました。
それは、練習と試合に集中するため、お金の心配を抱えたくなかったからです。
自己の経済のマネジメントは、プロのアスリートとして欠かせない要素です。当然、会社員であろうとも、主婦であっても、欠かせない要素です。
20代前半は金融の勉強をスタートし、今では、世界中の株や債券に投資をし、地元ベルギーで不動産も買って運用しています。
日本では言語と金融知性はそれほど必要とされていないのですが、世界に出てみると、語学と金融知性は一般教養の一つであり、グローバル化社会での武器になると感じます。
04 自分の想いをシンプルに残す
ビジネスパーソンは、達成目標などを言語化や数値化でシートに残します。
でも、プロのアスリートの場合には、その目標は、通常、心のなかにしかありません。
でもぼくは、それを「ノートに文字として残す」ということを、高校時代から行っています。
フランスの哲学者の言葉を借りれば、その作業を「エクリチュール」(フランス語で書くという意味)というそうです。
高校生のころは、練習メニューや反省文などを書いて文字として残し、プロサッカー選手になってからは、より記述が細かく、心理状態や、どうするべきだったかということまでも、細かく文字で残しました。
でも、その文字として残している方法論では結果が出ない、という壁にぶつかり、悩んだ時がありました。これはビジネスシーンでも、生活でも同じですが、「わかっているからできること」と「わかっていてもできないこと」が出てきて、その「わかっていてもできないこと」は、机上で考え、ノート上でいくら分析しても、なにも解決されないことに気づいたのです。
そして今では、頭で記憶したいことをノートに細かく書くのではなく、心で記憶できる言葉をシンプルに残しています。自分の心に書きとめることで、カラダが反応するようになっているのです。
2010年、南アフリカW杯前のイングランド戦では、忘れられない出来事があります。
前日に、過去の分析を行いながら、翌日のイングランド戦のことを考えていました。
「ペナルティキックになったらこんな感じかな」「誰が蹴ってくるかな」などと考えてイメージしていたら、それが現実になってペナルティキックを止めたのです。
それは今でも忘れられない、心で記憶して、カラダが反応した瞬間です。