2015.3.28
まず自分の状況を把握する
横山:私はもともと司法書士事務所にいました。そこには借金などで困っている方が来られたのですが、自己破産や債務整理を行ったとしても、数年後に以前よりも酷い状況になって再訪されるケースがままあったんです。
そうした経験の中で、事後対応ではなく、自己破産にいたる前に、根底から変えることが必要じゃないかと考えるようになったんですね。そこで、ファイナンシャルプランナーの資格を取得し、『お金のことをいっしょに考えていきましょう』ということを提示して始めたのが今の業務のきっかけです。ここが原点ですから、今でも相談業務をメインと位置づけ、「家計再生コンサルタント」という肩書きを付けています。
なかなかお金を貯められない方が貯められるようになるためにはどうすればいいのかということに、今まで多くのお客様と一緒に取り組んできました。その中で、実際効果があったという方法を他の方にも伝えたいと思い、本も出版してきました。あまりストイックではなく、少し緩い感じなので、どなたにも取り組みやすいと思います。
お金が貯められない人というのは「どうせ使ってしまうし、貯められない」という思い込みを持っているようです。それを変えるためには、高い目標ではなく、「3か月で8万円貯める」など身近な目標をたてて、その目標を何回も達成してことで自信を持つことが大切です。
現在の自分のお金の状況を知るためには、一時的でもいいので、まずは家計簿を付けて数字を使って把握することが必要です。ダイエットをする場合、まず体重を測って、その結果によってどうしようかと考えると思います。お金に関しても、まずは家計簿を付けてみるということからお願いしています。
不況型で家計が苦しくなっている方が多い
-家計のやりくりに悩む方に傾向性を感じることはありますか?
横山:所得が下がってきてしまい自然と苦しくなっているケースが多いです。大きい割合では、固定費である住居費ですね。収入の25%位でローンを組んでいたのが、30%以上になってしまったり。浪費型と不況型に分けるとすると、浪費型はここ数年で大きく減少し、不況型が増えている印象です。
実際には、年収が高い頃のお金の使い方を変えられないケースが多いんですね。突出した無駄はないんですが、今まで普通に使っていたところから何かを削ることが難しいわけです。
目標を持ってお金と付き合うことが大切
-お金を貯めたいという方にアドバイスがあればお願いします。
横山:お金は使い方だと思います。節約も大切ですが、単にお金を貯めて自分の中で喜んでいるだけであれば残念だと思います。お金というものは、道具のようなもので、何かを成し遂げるときや、実現化させるときに持っていればいいと思います。目標を持って、使うべきときには使い、使うべきではないときには使わないという価値観を自分の中で作る必要があるのではないでしょうか。
私は、何にどの程度お金を使うのか、適正な割合を出すのは好きではないんですね。住居費が20%とか、食費が何割とか、人によって違うと思います。他にもお金の使い方「ワースト5」のような話をすることもありますが、人によってはそうしたお金の使い方こそに生き甲斐を感じる方もいると思うのです。
ですから、皆さんに一般論を押しつけるのではなく、人それぞれ違うお金をかけるべきところ、かけてはいけないところを数字で把握した上で、一緒に話をしながら家計改善に取り組んでいます。
お金を貯めることによって人生に変化力が
-最後に、読者の方にメッセージがありましたらお願いします。
横山:お金を貯めることが目標なのではなく、なぜお金を貯めるのかということを考えていただきたいと思います。それから、貯金というのは自分への備え的な、贈り物の様な部分があるということです。今月使わなかった2万円は、将来に使いたいと思ったときのための良い意味での先送りをしていると考えてみましょう。
お金がないがためにこれからの人生に制限がかからないように、人生の変化力を付けていただきたいと思っています。
(本記事は、2011年04月28日にファイナンシャルマガジンに掲載されたものを再掲載しています)