〈藤田雄大〉気球にすべてを賭ける世界王者のこれから

インタビュー

「お金とは、気球のために使うもの(藤田雄大)」

藤田雄大が思い描くこれからの夢

STAGE編集部:世界チャンピオンになった今、今後の目標は?

「気球の選手生命というのは、ものすごく長いんですよ。僕はまだ本当に若手。年齢は30なので、若手という言葉はあれなんですけど(笑)。これから先は長いので、ずっと勝ち続けたいという思いはありますし、やっぱり1度きりの世界チャンピオンだけじゃなくて、何度も勝ちたいというのはあります。

ブラジルで世界を獲れたんですけど、僕自身はまだそこまで「俺がチャンピオンだ」という気持ちはなかったですし、まだまだ尊敬するパイロットや目標にする人たちがいるので、タイトルだけが偶然手に入ったという思いです」

「ただ、偶然だとしても、タイトルを手にした意味はすごく大きかったです。以前、大会で佐賀に行った時に、子どもたちがわっと集まってきて「僕もパイロットになりたいです!」とか「世界チャンピオンになりたいです!」とか言われて、やっぱり勝ってよかったなあと思いました。

僕が勝つことで、気球に憧れを持ってくれる子が増えることは、純粋に嬉しいです。まだまだ知名度の低いスポーツですけど、メディアに取り上げていただいて、みんなに知ってもらえるきっかけになればいいなというのはあります」

世界チャンピオンになったことで一躍脚光を浴びた。夢を追い続ける若者から夢を与えられる存在に。気球に興味を持ってくれた子供たちのためにも、さらなる高みを目指す。

STAGE編集部:今後、競技を続けるのにもお金がかかると思うのですが、普段お金についてどのように考えていらっしゃいますか?

「夢のような話ですけど、スポーツ選手として気球の競技だけて食べていけるなら、それが一番良いカタチだと思います。ただ、現実問題としては、なかなか難しいのかなとも思っています。

基本的に、僕の両親もそうなんですけど、お金を儲けるために飛ぶわけではないですし、そのために生きていこうというスタンスでもないので、本当に気球が好きで気球の競技ができることを第一に考えています。

他に趣味があって、そっちに回すお金が欲しいなあという願望も全然ないんですよね。だからお金をかけるんだったら、やっぱり気球のことばかり考えてしまいます」

STAGE編集部:物欲は全くないんですか?

「ないですね。いい服着たいとか、いい時計欲しいとかはないです。車にしても、気球のためにいっぱい物を乗せられる方がいいので、そういうのを優先して選びます。やっぱり気球も消耗品でお金がかかるので、そのために貯金しておこうかなと思いますね」

メジャースポーツではないがゆえの苦労。が、藤田が見つめる先には気球しかない。他のものには目もくれず、ひたすら気球のことだけを考える。誰にも負けない気球愛が藤田を突き動かしていく。

これからもずっと空を飛んでいたい

STAGE編集部:すべてを賭けるほどのめり込む気球の魅力というのは?

やはり気球で空を飛んでいる時に自由になれる感覚は、他のものには代え難いですね。

STAGE編集部:気球で飛んでいる時はどんな感覚なんですか?

気球は左右の動きができず全てが風任せなんですけど、その風と高さの感覚をつかみ切ると、何かこう気球と自分と空と一体になっているような感じで動けるんです。そのときの気持ち良さを体験したら、もう忘れられないと思います。だから、気球を辞めたいと思ったことは一度もないんですよね。

STAGE編集部:最後に、藤田雄大さんにとってお金とは何ですか?

「難しいですね。

でも、ストレートにやっぱり……気球のために使うものだと思います」

お金とは、気球のために使うもの(藤田雄大)

藤田雄大さん

バルーンニスト

1987年5月7日生まれの30歳。幼き頃より世界のフジタと呼ばれた父・昌彦氏と共に世界を転戦。18歳で熱気球パイロットライセンスを取得後、日本選手権・世界選手権で好成績を残し、2014年の世界選手権で日本人初となる優勝を果たす。やずやバルーンチーム所属。

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