2018.12.18
FRBによる利上げ回数をチェックしよう
2019年の一番の注目は、米国経済の減速が起こるのか起こらないのか。これを手っ取り早く確認するには、米連邦公開市場委員会(FOMC)にて決定される政策金利、フェデラルファンド金利(FF金利)の誘導目標が引き上がれるのか、そして、どこまで引き上がれるのかに注目しましょう。
まずは、FOMCの開催日程を現地時間で確認しましょう。
2019年(※ パウエルFRB議長の記者会見が予定されていますのでコメントに注意)
1月29日~ 1月30日
3月19日~ 3月20日※
4月30日~ 5月 1日
6月18日~ 6月19日※
7月30日~ 7月31日
9月17日~ 9月18日※
10月29日~10月30日
12月10日~12月11日※
3月19日~ 3月20日※
4月30日~ 5月 1日
6月18日~ 6月19日※
7月30日~ 7月31日
9月17日~ 9月18日※
10月29日~10月30日
12月10日~12月11日※
さて、ある調査機関の予想によると2019年利上げ回数の中央予想値は2回、2020年利上げ回数の中央予想値は1回となっており、エコノミスト予想のFF金利の中央値は2019末時点が2.89%、20年半ばが2.93%、20年末が2.9%。21年末には2.82%になっています。現時点の2.00%〜2.25%から緩やかな上昇に収まることを予想されています。この予想内でFF金利が収まれば景気に配慮した経済運営ということいえます。一方で、経済に対する自信がないことを示してもいることから、市場がどちらに反応するのかに注目が集まります。
また、このような政策金利を見たあとに、せっかくなので3カ月金利と米国の10年金利のイールドカーブを確認してみてはいかがでしょうか。もし、年に8回開催される時にこのイールドカーブを確認して3カ月金利>10年金利のように3カ月金利の方が高ければ逆イールドと言われる状態になります。これは、景気後退を示唆している可能性が高まることから市場では警戒感が高まることでしょう。
このようにまずは世界のGDPのうち約24%程度を占める米国経済から目を離さないようにしましょう。
英国下院でブレグジットの合意はなされるのか
ブレグジットに対してはこの1つの言葉に注目してください。
「合意なき離脱」
現在、英国はEUからの離脱について2019年3月29日を期日として作業を進めています。11月下旬に開催されたEU臨時首脳会合で離脱協定合意がEU首脳により承認されました。残すところは、英下院と欧州議会での承認だけとなりました。が、しかし、現時点では(2018年12月17日現在)では、英国下院での承認を得るのは難しくこの承認を得ることなく来年3月の期日を迎える可能性が高まっています。そうなるといわゆる「合意なき離脱」になる可能性が高くなってきました。
では、この合意なき離脱となるとどんな問題があるのでしょうか。
以下のような様々な悪影響が懸念されています。
以下のような様々な悪影響が懸念されています。
1)最悪の場合ポンドの価値は25%急落し、GDPは8%縮小する恐れがある
2)住宅価格は3割近く下落する恐れ
3)商業不動産価格は48%下落する恐れ
(全てイングランド銀行によるブレグジット後の5年間を展望する最悪のシナリオ)
4)英国経済の2019、2020年の経済成長率について、EUとの合意を伴うブレグジットであればそれぞれ1.9%、1.6%と予想しているが、「合意なき離脱」の場合には、いずれも0.3%にとどまる
(英国国立経済社会研究所による)
2)住宅価格は3割近く下落する恐れ
3)商業不動産価格は48%下落する恐れ
(全てイングランド銀行によるブレグジット後の5年間を展望する最悪のシナリオ)
4)英国経済の2019、2020年の経済成長率について、EUとの合意を伴うブレグジットであればそれぞれ1.9%、1.6%と予想しているが、「合意なき離脱」の場合には、いずれも0.3%にとどまる
(英国国立経済社会研究所による)
これを受けて英国中央銀行のカーニー総裁は「リーマンショックより大きな衝撃が起こるだろう」とコメントしています。3月29日の期日をどのような形で迎えるか、大変注目されます。
安全保障問題は大事になることもあるので要注意
来年は国際情勢を中心に経済が回りそうです。
特にファーウェイ問題には注意が必要です。米中貿易問題より明らかにインパクトの大きな安全保障に関わる問題です。報道によるとファーウェイは中国政府と中国軍と連携をしているとされ、そのため、普通の民間企業ではなく、習近平中国国家主席にとっては世界戦略の一端を担う半官半民のような企業といわれています。そのため米国が孟副会長を半ば強引に逮捕したといわれており、米国にとってはファーウェイという会社は、安全保障を脅かす企業であるとの判断から今回の一連のながれになったとされています。加えて米国はファーウェイの通信機器を使用することで機密情報と大量のデータが盗まれると世界に向かって警告を発しています。
さて、真実は当事者にしか当然わかりません。そのためここではどちらが正しいということを述べる必要はありません。しかし、このような国家安全保障を切り口にした出来事は、歴史上大事になることが非常に多く、また経済へのインパクトも大きくなることから要注意だと考えています。この逮捕劇が今どのように進展し、結論を迎えるかはきちんと追いかける必要がありますし、これが落ち着くまで株価もなかなか安定しないと思われます。
さて、今回は3つのことを取り上げました。同じようなポイントは各紙紙面でも大きく取り上げられていることから特に目新しいものでありません。このように誰の目にも明らかな問題が多い年は、これらの問題が無事にソフトランディングした場合、その後経済や株価はひとまず安心し堅調に推移する傾向が強いです。しかし、それでも気をつけなければいけないのは、このような大問題に注目が集まっている最中に、新たな「問題の芽」がすくすくと育ち、いずれ大問題化し相場に大打撃を与えることです。例えば、大きな問題に隠れて、米国の住宅価格が下がる、住宅中古販売の数が下がる、失業率が徐々に上がる、社債価格が大きく下落する、学生ローンの延滞率が高くなる、など。来年のように大きな争点が目立つ年だからこそ、新たな「問題の芽」に対してアンテナを張ることが大事です。来年は相場が転換する1年になるかもしれないという引き締まった気持ちで新しい年をお迎えることがすごく大切だと思っています。