掃除は30分で終わることが毎日続けるコツ
きっかけは、取材で聞いた掃除の達人「ごんおばちゃま」のひと言です。
<026ページより引用>
「掃除は、汚れていなくても毎日します」え、掃除って汚れているからするんじゃないの? と思いながらも、教えられた手順で、まずはやってみることに。ごんおばちゃまのもうひとつの教えが、「毎日30分以内ですませること」。30分以上やると、イヤになってしまうから、続かないのだと言います。
暮らしまわりをテーマにした雑誌や本を作っているフリーライターの著者は、「イチダさんも、さぞ丁寧に暮らしているんでしょうね」などと、よく言われるのだといいます。
しかし、その実情は真逆で、毎日時間に追いかけられながら走っているようなのだとか。そんな著者は、少しの時間で、心地よく過ごせるシステムを構築していくプロセスが楽しいのだといいます。「完璧」を目指すより「完璧」の一歩手前にある、「できること」をつまみ食いする程度が、自分には合っているようだと分析しています。
そして、「暮らすこと」が大好きだという著者は、たとえ丁寧に暮らしている暇はなくても、暮らしを楽しむためにしていることを、著書内で紹介しています。そのひとつが、毎日30分で掃除を終らせるということ。汚れてから掃除するのではなく、毎日クイックルワイパーで埃を払い、掃除機をかけ、モップをかける。ジャスト30分で終わるように毎日掃除をしていると、汚れ方が少ないため掃除が負担にならないといいます。
そして、毎日掃除ができるようになると、暮らしに自信のようなものが持てるようになるのだとか。生活のベースが整うことで、地に足つけている感覚が味わえる。毎日30分の掃除が及ぼす効能は、意外なところにあるようです。
古い書類が「押し出される」整理法に
紙モノの整理って、誰もが頭を悩ますことだと思います。一番いいのは、古くなった情報はその都度処分すること。でも紙類は、何が古くて何が新しいか、アップトゥデイトで分類するのもかなり手間がかかる! 中略
<078〜079ページより引用>
方法はいたってシンプルです。どんな書類も会社ごと、媒体ごとには分けません。つまり、「分類」するのをやめるのです。その代わり、「時間軸」で整理します。
フリーライターの著者は、いろいろな出版社と日頃仕事をしているのだといいます。かつては、そんな書類を、会社ごとや媒体ごとに整理していたのだといいます。
最初は、ファイルを用意して、ファイリングしようとしていたものの、いちいち穴をあけて閉じていくのは手間になったり。続いて、ボックスファイルへの投げ込み式にしたものの、新旧の書類が混ざり合ってごちゃごちゃになってしまう。自分にはこまめに整理する方法が向かないと感じた著者は、書類の整理について試行錯誤していた時期が長かったようです。
やがて、『「超」整理法』というベストセラーになった本に書かれていた整理法である「押し出しファイリング」を取り入れてみたのだとか。その方法はいたって簡単で、時間軸がベースになっています。クリアファイルに書類を入れてラベルを貼り、ボックスにどんどん立てていきます。取り出して使ったファイルや、新しいファイルはボックスの一番右に立てます。使われずに古くなるにつれて、ファイルは左へ寄っていくのだとか。
一ヶ月に一度ほど、左側に押し出されたファイルを、もう使わないものとして処分するのだといいます。この方法を取り入れたことで、整理のストレスがなくなったと著者はいいます。
会社のデスクだけではなく、家庭の中のさまざまな書類の整理などにおいて、参考になりそうな手法です。
できないことを認めると次の一歩が見える
小学生のころから、机の引き出しの整理整頓ができなかったという著者。
元来、几帳面な性格ではないので、あまりに混沌としてしまい、半年に一度、引き出しをひっくり返して中身を全部出し、きちんと並べ直していたのだといいます。それでも、すぐに元の状態に戻ってしまっていたのだとか。若いころは、自分に「できないこと」があるのが許せなかったといいます。
100点がここなら、ここまで行かなくてはならない。でも、歳を重ねるごとに、すべてに100点は無理ということがわかってきたのだといいます。
自分の「できない」を認めて、誰かに助けてもらったり。それによって心が軽くなり、明日が楽しみになってきたといいます。生きていれば、抱えているモノも、事柄も多苦なるのは当然のことです。その中で、自分の不得意を認めつつ、できる範囲で自分らしい暮らしを工夫して作っていくことならば、無理なくできそうな気がします。
タイトル: 丁寧に暮らしている暇はないけれど。
著者: 一田憲子
発行: SBクリエイティブ
定価: 1490円(税込)