2019.10.12
これは、フランスの画家ラウル・デュフィ(1877-1953)の≪ニースの窓辺≫(1928年 油彩/キャンパス 島根県立美術館蔵)。12月15日まで、東京のパナソニック汐留美術館『ラウル・デュフィ展』で展示されている作品です。
“joie de vivre~生きるよろこび~”
同時期に活躍していたゴッホやピカソに比べると、その名前を聞く機会は少ない画家ですが、私のまわりには静かに熱烈なデュフィ好きが多いのです。
「色彩は光である」-“色彩の魔術師”と評される、華やかに陽気で、透明感のある色。一見無造作で、走り書きのような線。明るい色彩や軽快な線を好む画家は他にもいますが、デュフィの作品は、どれもその全体が、思わずのせられて体が動いてしまう、音楽を聴いているような独特のリズムにあふれています。
その唯一無二の明るさ、眩しさ、軽快さ。作品を前に感じるのは、休日のような幸福感、高揚感、同時にくつろぎ。こちらの気持ちの色まで鮮やかに上げてくれる効果抜群です。
こんな作品を創る人って、貧しい芸術家の苦悩とかそういうものには無縁の、さぞかし幸せな恵まれた人生なんだろうなあ。
そう思って年譜をのぞいてみると。
音楽一家という芸術的には恵まれた家庭ながら、家計を支えるため14歳から働きに出たデュフィ。その後、貧しい画家としてスタートし、続けた試行錯誤。そして、戦争、重い関節炎・・・決して順風満帆、常にもろ手をあげてハッピーな人生ではなかった模様です。
では、このデュフィ作品に一貫する、突き抜けた明るさはどこからくるんだろう?
「自らの病気や世界の動乱が作品に反映されてはならない」*
デュフィはそう語っていました。
自分が描くのは、“joie de vivre~生きるよろこび~”。自分の作品は、人を幸せにするものでありたい。
カンバスからあふれているのは、この“joie de vivre~生きるよろこび~”を表現するために生涯をかけて追及した色と線、画家デュフィの信念なのですね。
デュフィはそう語っていました。
自分が描くのは、“joie de vivre~生きるよろこび~”。自分の作品は、人を幸せにするものでありたい。
カンバスからあふれているのは、この“joie de vivre~生きるよろこび~”を表現するために生涯をかけて追及した色と線、画家デュフィの信念なのですね。
デュフィが提供してくれる、この幸せや高揚は、まるごと享受して、そのリズムにのせられるべし。創った側と見る側の間に生まれる、joie de vivre空間も含めて、楽しんでみてください。
左から
≪薔薇≫1980年(テキスタイル制作) 絹紬
≪花と蝶[デザイン原画]≫1916-28年頃 インク/紙
≪夏〔デザイン原画〕≫1925年 グワッシュ/紙
すべてデュフィ・ビアンキーニ蔵
≪薔薇≫1980年(テキスタイル制作) 絹紬
≪花と蝶[デザイン原画]≫1916-28年頃 インク/紙
≪夏〔デザイン原画〕≫1925年 グワッシュ/紙
すべてデュフィ・ビアンキーニ蔵
デュフィは画家であると同時に、テキスタイル・デザイナーとして大きな功績を残しています。薔薇をはじめとする、身近な自然、幾何学模様、またダンスやテニスなどモダンライフをモチーフにした、デュフィのテキスタイル・デザインは、実に大胆かつリズミカル。絵画作品にあふれているリズムが、よりわかりやすい形で布地一面に広がっていき、思わず拍子をとりたくなるような躍動と楽しさを感じます。
当時も大変な人気を博していたようですが、21世紀の今見ても新しい“よろこび”があることに驚きます。このテキスタイルで制作された最先端の衣装を、うっとりと目を輝かせてみている当時のご婦人たちの高揚感まで伝わってくるよう・・・。
当時も大変な人気を博していたようですが、21世紀の今見ても新しい“よろこび”があることに驚きます。このテキスタイルで制作された最先端の衣装を、うっとりと目を輝かせてみている当時のご婦人たちの高揚感まで伝わってくるよう・・・。
ちょっと立ち寄った美術展で、気持ちの色をワントーン上げてリフレッシュ。
年末に向けせわしなくなる日常のライフハックとしても、この秋のデュフィ体験、おすすめします。
年末に向けせわしなくなる日常のライフハックとしても、この秋のデュフィ体験、おすすめします。
*『ラウル・デュフィ 絵画とテキスタイル』青幻舎、2019年、46頁より引用
ラウル・デュフィ展― 絵画とテキスタイル・デザイン ―
パナソニック汐留美術館
パナソニック汐留美術館
展覧会会期:2019年10月5日(土)~12月15日(日)
開館時間:午前10時より午後6時まで(ご入館は午後5時30分まで)
※11月1日(金)、12月6日(金)は夜間開館 午後8時まで(ご入館は午後7時30分)
休館日:水曜日
入館料:一般:1,000円、65歳以上:900円、大学生:700円、中・高校生:500円、小学生以下:無料
開館時間:午前10時より午後6時まで(ご入館は午後5時30分まで)
※11月1日(金)、12月6日(金)は夜間開館 午後8時まで(ご入館は午後7時30分)
休館日:水曜日
入館料:一般:1,000円、65歳以上:900円、大学生:700円、中・高校生:500円、小学生以下:無料
※20名以上の団体は100円割引
※障がい者手帳をご提示の方、および付添者1名まで無料でご入館いただけます。
ホームページ割引引き換え券はこちら
主催:パナソニック汐留美術館、産経新聞社
後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本、港区教育委員会
企画協力:株式会社テモアン
※障がい者手帳をご提示の方、および付添者1名まで無料でご入館いただけます。
ホームページ割引引き換え券はこちら
主催:パナソニック汐留美術館、産経新聞社
後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本、港区教育委員会
企画協力:株式会社テモアン