一見無駄に思えることに面白さを見出だし、続けていくことにより一生の財産になる。本書は、一生の財産を養うための勉強法、また好きな分野、得意な分野をみつけて伸ばす。大人のための学習について提案している。
そもそも誰でもすぐに身につけられるものは、付加価値にはならない。今後必要になるのは「引き算の勉強法」それは、自分が魅力に感じた一つのものを深く追求するということ。また、本業とは関係ない分野で専門家になれるほどの知識をもっていれば、自分の付加価値になると言う。
未知の世界に触れ、脳に刺激を与え続けることにより、柔軟な発想を持ち続けられる。そのために本は最適だと著者は言う。
また情報など、豆知識のストックを日々繰り返していると、全く違うジャンルのキーワードから思いがけない発想が生まれ「化学反応」が起きる。偶然から生まれるアイディアがヒットに繋がる場合も多いそうだ。
意外にも、著者の嫌いな言葉は「努力」と「根性」いかに努力しないかを考えて生きてきたそうだ。そのため、上司から説教されたこともあったそうだが、好きなこと、得意なことに努力は必要ないと著者は言う。無理するから努力なのであって、好きなことはエネルギーになる。そして現在、若い頃よりも全力で遊び、充実した人生を送っているという。評者もその様な人生を送りたいと思う。
また、身につけておいて損はない知識は、美術の基礎知識だそうだ。美術の分野は世界中で普遍的なため、必須の教養だと言う。さらに、大人の遊びとしてオペラ、歌舞伎、文楽、バレエなどの芸術鑑賞もすすめている。勉強もしょせん遊び。自分の人生を生きるための勉強法だと言う。
著者がすすめる芸術は、いずれも鑑賞してみると、とても興味深いものであったが、評者がこの中でとても印象に残っているものの一つが文楽(人形浄瑠璃)だ。舞台では、文楽人形が本物の人間のように滑らかで、細かな動きをしていたことにとても驚いた。レクチャーを受けて実際に文楽人形を動かしてみたのだが、これがまた非常に難しい。
目や眉、口などの顔の表情をつくるためにそれぞれ動かしつつ、衣装を気にしながらも手のしぐさをつけ、さらに音楽にあわせる。同時にいくつもの操作をするのは、並大抵なことではないと感じたことを覚えている。
本書は、二十年後三十年後に機嫌よく人生を過ごせる準備を今から始める。そのための勉強法だと著者は言う。
作者: 成毛眞
出版社/メーカー: 幻冬舎
発売日: 2012/06/28
メディア: 単行本
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