食で世界を変えたパワーみなぎる3つ星ムービー

カルチャー

2015年から2016年にかけて訪日外国人の飲食費が17%も上昇し、日本食の世界的な人気を一段と強く感じるこの頃。注目のキーワード「地産地消」を加え、「食」と「世界へ」をテーマに選りすぐりの3本を紹介します。

2017.6.12
最近、街は外国人観光客で賑わっています。それもそのはず、政府観光局が2017年4月19日に発表した4月の訪日外国人数は、前年同月比で23.9%増の257万9000人。1ヵ月単位では過去最高の250万人超えです。もし、このペースが継続したとすると年間観光客数は3000万人を超えることになり、世界観光客到着数の世界ランキングでトップ10ぐらいにランキングされます。2013年が1036万人で27位だったことを考えれば短期間ですごい伸びです。さて、最近の訪日観光客の目的は「コト消費」、特に日本での食事を楽しみにしている人が増えているようです。調べてみると、訪日外国人の飲食費は2015年の6420億円から2016年の7574億円へと17%も増えていました。やはり日本食は人気があることがわかります。その中でも、特に地産地消のレストランが好評だという記事を見かけました。観光客を通じて日本食の素晴らしさが世界に広まることを期待したいと思います。という事で今回は、「食」「世界へ」「地産地消」をテーマにしたおすすめの映画を取り上げたいと思います。食事は美味しいだけではなく、世界を変えるこということをのぞいてみてください。

1.食を通じてペルーを世界に広めた自国愛にあふれた料理人の話

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今、世界的に南米のペルー料理が注目されているのをご存知ですか。様々な料理を融合させる「ペルビアン」の人気が凄まじいのですが、山の幸にも、海の幸にも恵まれたペルーの大変素晴らしい環境も関係しています。この映画はそのような料理の話をメインに進めながら、母国を変えようとする偉大な料理人の話です。 作品:「料理人ガストン・アクリオ 美食を超えたおいしい革命」
主演:アストン・アクリオ、その他すごい料理人たち
制作:2014年(米国、ペルー合作) ペルーは国として知名度は高い方ではありません。だからこそペルー出身の主人公のガストンは、料理を通じて愛する母国を世界に伝えるために大活躍していきます。彼が初めて就職したのはスペイン弁護士事務所。しかし、親に強引に進められた仕事が水に合わず、勤務初日に3時間で事務所を飛び出し料理の世界へ。その後、フランス料理に傾斜していく自分に疑問を感じペルーに戻り、ペルーの食材と世界の食材を融合させたコンテンポラリーの素晴らしさを世界に発信していきます。組み合わせの妙でここまで変わるのかと思うほどです。しかも、見た目はまさにアート仕立てです。常に、おごることなく食材の生産者である漁師、農民への感謝を忘れず、また、貧しい子供達へ料理学校を設立するなど規格外の行動力です。好きなことを通じて国を変えることができると思い知らされます。語り口調は、意外と静かですが、見ている人は熱くなれるドキュメンタリー映画です。

2.テースティングでワイン界の秩序を崩壊させた濃厚な話

レストランに星があるのをご存知の方は多いと思いますが、ワインに点数があるのはあまり知られていないかもしれません。点数で一番有名なのはパーカーポイントと呼ばれるものです。世界中のワインを100点満点で評価してその点数次第で売れ行きが大きく変わるほど影響力が大きいポイントです。この話だけ聞くと「なにやら点数を取るために裏で色々とありそうだなぁ〜」と思う人も多いと思いますが、悪い話ばかりではありません。実はこれをきっかけにワイン界に新しい流れができました。 作品:モンドヴィーノ
主演:ワイン、ミシェル・ロラン、ロバート・パーカーなど
制作:2004年(フランス、米国合作) ワイン美味しいですよね。これからの季節は白ワインもいいですね。ところで、ワインといえば、テロワール(土地や風土)を活かし、作り手の愛情はいっぱい注がれた作品というイメージが強いのですが、実はワインの世界でも勝ち組、負け組がはっきりしており、なかなか厳しい世界です。そんな中、売れるワインを指南するワイン・コンサルタント、ミシェル・ロランが次々とワイナリーを立て直します。また、ロバート・パーカーというカリスマ評論家は、点数をつけてブームを作り出します。これにより古いワイン関係者からは、「ワインが商業化した」、「もうワインは終わった」と指摘する声が多数あがっていましたが、実はワイン界の硬直した縦社会を壊し、消費者目線に合わせた新たな風を吹き込んだという話がでてきます。ワインの映画として楽しみながら、グルーバル化、庶民化についてもこの映画を題材に考えてみてください。

3.北欧料理を世界に広めた1人の革命的料理人

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北欧料理といえば「ミートボール!」とイメージする人も多いのではないでしょうか。そうです、IKEAのミートボールは美味しいから、そのイメージが浸透しているかもしれません。他には ニシンの酢漬けも有名ですね。この、ちょっと地味なイメージだった北欧料理を世界の頂点まで引き上げたレストランとシェフがいます。そのお店の名前は「noma(ノーマ)」、シェフは「レネ・レゼピ」。スウェーデンにある倉庫を改装しためっちゃくちゃカッコいいレストランです。そのレネ・レゼピ氏のインタビューを通じて、彼の料理人の苦悩と創作料理の素晴らしさを感じることができるドキュメンタリー映画です。 作品:ノーマ、世界を変える料理
主演:レネ・レゼピ、他料理人のみなさん
制作:2004年(フランス、米国合作) nomaは「世界ベストレストラン」という権威あるレストラン評価ランキングで、なんと2010年から2012年まで3年連続でトップに輝いた間違いなく世界最高峰のレストランです。しかし、栄華は続きません。2013年にノロウイルス感染者を63名出したことで一時的に評判が悪化。最強の料理人軍団は少し崩壊気味。しかし、その後……という話です。ここからの続きは、映画を見ていただきたいと思います。さて、この映画のすごいところは、限られた食材の中で「地産地消」を徹底してあれだけの料理を作り出すこができること。また、2013年の経験を経て、チームマネジメントが構築されて世界最高の料理チームになり、レネの創作力だけではなく全員が創作に参加していることなど、学ぶところが多いのが刺激的でした。ちなみに、「うまみ」という言葉が世界で使われていることは知っていましたが、まさか「本だし」という言葉がそのまま通用するとは。驚きました。
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