ビジネスシーンにおける昨今の自己啓発状況
2017年に厚生労働省がまとめた「能力開発基本調査」によれば、自己啓発を行った人は、正社員で42.9%(2015年は42.7%、2016年は45.8%)、正社員以外で20.2%(2015年は16.1%、2016年は21.6%)でした。
2016年から2017年にかけて割合がやや減少しているものの、近年では積極的に自己啓発を行う人が着実に増えているのが現状です。実施方法についても多様化しています。同上の調査結果によると、正社員・正社員外のそれぞれにおいて、「ラジオ、テレビ、専門書、インターネットなどによる自学、自習」による自己啓発を行っている人が約半数にのぼることがわかっています。
(参考:厚生労働省|平成29年度「能力開発基本調査」
https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11801500-Shokugyounouryokukaihatsukyoku-Kibansetsubishitsu/0000118619_8.pdf)
自己啓発が将来のキャリア形成に与える好影響
厚生労働省が「労働経済白書」のなかでまとめたデータによれば、自己啓発によって能力の向上につながり、結果として現在の仕事にも好影響があらわれているのがわかっています。
具体的には、自己啓発を実施した2年後のアンケートで、自己啓発をしていなかった人よりも自己啓発をしていた人のほうが、仕事の質・満足度・年収などで割合が高くなっています。
(参考:厚生労働省|平成30年版厚生労働省 労働経済の分析(労働経済白書)
第2節 主体的なキャリア形成に向けた自己啓発の効果と課題について
https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/18/dl/18-1.pdf)
現在では多様な働き方が増えていることもあり、現在正社員で勤務している人であれば更なるキャリアアップによる転職、正社員以外であれば正社員雇用や希望の職種への転職にも近づきます。
将来的な結婚や出産を想定し、現在の職種で更なる能力開発を目指し、自己啓発に励む女性も増えています。自己啓発は将来のキャリア形成に大きく貢献し、仕事の質ややりがい、年収はもちろんのこと、現状よりも好環境を目指すことも可能だといえます。
自己啓発で注意したいポイント
自己啓発は、自分の心の成長を促すとともに、実務面でも大きな効果が期待できます。一方で、注意したいポイントも。ここで大きく3つの注意点をあげてみました。
・なんでも手を出しすぎて器用貧乏にならない
・自分にとって必要な自己啓発に時間・お金・力を注ぐ
・ピンポイントに注力しすぎると、視野を狭める恐れあり
自己啓発に積極的な方のなかには、多様なジャンルに手を出す傾向があることも。どんなジャンルでもなんでも学んでみたい探求心は、素晴らしいことです。一方で、自己啓発している自分の姿に陶酔してしまっている可能性も少なくありません。
人の人生には限りがあります。時間・お金・労力は有限であることを認識し、自分にとって何が必要なのかを理解したうえで自己啓発に努めましょう。自分が目指す方向性にフィットしていないと、遠回りばかりを繰り返すことにもなりかねません。
キャリアコンサルティングを受ける人も増加
自分でキャリア形成を考えるのはもちろんですが、どうしたらいいかわからない、という人が多いのも事実です。多様な働き方が増えることで、政府もキャリアコンサルティングの有用性について発言しており、実際に受けている人も少しずつ増えています。
今後は職場などでもキャリアコンサルティングを受けられる環境が少しずつ整備されていくことが想定されるでしょう。
(参考:厚生労働省|キャリアコンサルティング・キャリアコンサルタント
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/career_consulting.html)