2018.6.3
世界を舞台にスケールの大きな経営を展開する佐藤氏。一体どんな「お金のとらえ方」をしているのか?気になっていたので、彼の新著『お金2.0』を読んでみることにしました。テーマは「お金の正体とは何なのか?」そして「テクノロジーの進化を受けて、経済はこれからどんな道へと進むのか?」。ビットコインをはじめとする仮想通貨の話題など、学校では習ったことのない話が盛りだくさんでした。
それでは、本書の内容に迫りたいと思います。
お金の正体とは?急速に変化している「お金の在り方」!
まず第一章では、お金が誕生した背景から現在に至るまでの流れをわかりやすく解説。お金には価値の「保存・尺度・交換」の役割があると言われ、その起源は紀元前1600年頃の貝殻でした。その後、今からおよそ300年前に産業革命が起きて資本主義が誕生すると、この頃からお金の存在は独り歩き。元々のツールとしての役割だけではなく、お金にお金を稼がせる「証券化」などのスキームが生まれます。
と、ここまでは学校でも習ったことの「学び直し」のような内容ですが、学校の授業と違うのは経営者として佐藤氏自身が経済の流れを体感していること。ビッグデータの解析や活用、ネット決済事業を手掛けているだけあって「経済は欲望のネットワーク」であることの解説や、中国新興ビジネスの例を挙げての説明にはさすがの説得力がありました。
過去~現在までの話に続いて、2章以降は未来の話が中心。まさに今、お金の価値観を大きく揺るがすテクノロジーが次々と生まれているのだそうです。私たちは「新しい経済」をどう生きるべきなのか?そのヒントが見つかるかもしれません。
「シェアリングエコノミー」と「トークンエコノミー」が経済を変える!
今、経済の世界で大注目のキーワード「シェアリングエコノミー」。例えばタクシードライバーと個人をネットワーク化して配車をスムーズにした『UBER』や、空き部屋を貸したい人と宿泊先を探している旅人をマッチングする『Airbnb(エアービーアンドビー)』など、余ったものをネットワークでつながった人々がシェアすることで生まれる経済のこと。コストを大幅に削減できるメリットがあります。
さらにもう一つ、『トークンエコノミー』。こちらは特定のネットワーク内で流通する独自の通貨を「トークン」として生産者が発行することで生まれた、ネットワーク完結型の経済圏のこと。例えば月間1500万ユーザーを誇るカナダ発のメッセンジャーアプリの会社は、利用者が活発化するようなコンテンツをアップしてくれたユーザーに独自の仮想通貨で報酬を支払う計画があるのだそうです。
さらにもう一つ、『トークンエコノミー』。こちらは特定のネットワーク内で流通する独自の通貨を「トークン」として生産者が発行することで生まれた、ネットワーク完結型の経済圏のこと。例えば月間1500万ユーザーを誇るカナダ発のメッセンジャーアプリの会社は、利用者が活発化するようなコンテンツをアップしてくれたユーザーに独自の仮想通貨で報酬を支払う計画があるのだそうです。
この流れがさらに進めば、もはや経済の起点は国では無くなり国境すら意味をなさないものになっていくのかもしれません。
佐藤氏が提唱!「価値主義」とは?
『トークンエコノミー』のように、価値をやり取りする手段が通貨以外でも可能になる流れを佐藤氏は「資本主義」に対して「価値主義」と命名。
例えばツイッターのフォロワーが多い人は、仲間を集めたりクラウドファウンディングで資金を募ったり、分からないことがあれば知恵を借りることもできますが、このような“お金には換算しづらかった価値”を持つ人が、その価値を保存したり、好きなタイミングで別の価値に転換可能になったりする時代に差し掛かっているのです。
ちなみに、価値には「目に見えないもの」がたくさんありますが、他者からの評価ポイントなどにより可視化する動きも今後加速すると見られているのだそうです。
「価値主義」が変える働き方!
自分の価値を収入に変換して生きる環境が整うと、一体何が起こるのか?それは「本当に価値を提供できる人は会社に属して働く必然性が無くなる」ということ。会社は自分の価値を発揮するための1つのチャンネルとなり、複数の収入源を使い分けるのが当たり前の世の中になると佐藤氏は見ています。副業OKとする大企業が増えている時代の流れから見ても、この考えにはリアリティがありますよね!
そこで大切になってくるのは「個人の価値」を高める働き方。佐藤氏は「価値主義は経済の民主化」とも表現していますが、この「新しい経済」をどのように生き抜くべきなのか?現在の自身の働き方を見直すべき時が来ているのだと強く感じました。