楽しみながら思考力を鍛える5つの映画

カルチャー

世の中には一挙両得といった話はそれほどありません。今回は、楽しみながらなんと社会人として不可欠な思考力を鍛えることができる映画をご紹介したいと思います。

2017.4.28(2019.12.16更新)
世の中には楽しみながらプラスアルファ的な話が多くありますが意外と楽ではないですよね。例えば、お肉を好きなだけ食べていい糖質制限。お肉を食べていいのは素敵だけど、どうしても白米やラーメンが食べたくなります。では、楽しみながらエクササイズはどうでしょうか。インストラクターは笑顔ですが、生徒は顔全面に辛さがにじみ出ていて苦しそうです。
ということで、世の中には一挙両得といった話はそれほどありません。 ですが、今回は、楽しみながらなんと社会人として不可欠な思考力を鍛えることができる映画をご紹介したいと思います。

1.若き弁護士が米国海兵隊の強固な秩序を崩す〜駆け引き思考

世界一レベルの高いハーバード大学ロースクール出身の弁護士といえば間違いなく優秀なはずですが、主人公は法廷経験のない若い和解専門の弁護士で、しかもあまりやる気がありません。しかし、米国海兵隊の理不尽なルールを知ったことにより、戦略思考を駆使した法廷戦術である人物を追い込んでいくことになります。素晴らしい進め方で悪を倒す爽快な映画です。
作品:「ア・フュー・グッドメン」(原題:「A Few Good Men」)
主演:トム・クルーズ、ジャック・ニコルソン、デミームーア、若きジャックバウワーも
制作:1992年(米国)
舞台はキューバの米軍基地。基地内で一等兵が殺害されました。その加害者は同じ軍に属した2名の若者。しかし、2人の若者は自分たちの意志ではなくある軍隊に蔓延る「あるコード(ルール)」に忠実に従っただけでした。この事実を隠し通す上層部を追い詰めるために、トム・クルーズ演じる主人公は、法廷で戦略的思考を駆使して質問を並び立てます。そしてその結果……。「言わぬなら言わせてみせる!」その駆け引きのベースにある思考が学び所です。

2.怒れる男たちの理路整然とした〜論理的思考

引き続き「法廷もの」。もう50年も前の作品ですが、未だ色あせない名作です。12人の陪審員で話し合われる裁判。だれもが有罪を信じた裁判結果に1人の男が挑みます。一つひとつ明らかにされる真実。そして最終的には……。
作品:「12人の怒れる男」(原題:「12 Angry Men」)
主演:ロバート・カミングス他、怒れる男たち
制作:1957年(米国)
スラム街で18歳の少年が起こした殺人事件。少年は父親を殺したとして第一級殺人罪に問われました。ここまではよくある映画。しかし、主人公はランダムに選ばれた12人の陪審員。最初は、チャッチャッと「有罪」の評決を出して帰宅しようといった空気が支配する中、1人の男が「無罪」を主張。ナイフの話、目撃者の話など、証拠一つひとつをロジカルに詰めていくことで、徐々に雰囲気が変わっていきます。一歩一歩論理的に詰めていけばゴールが見えてくると教えてくれる映画。

3.最弱チームを立て直す方法は統計的〜理論思考

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アメリカのメジャーリーグの貧乏球団を独自の理論で常勝球団に導いた映画です。ブラッド・ピットが演じる球団のゼネラルマネージャーが独自の理論である「マネーボール理論」を推し進め、貧乏球団が常勝集団に生まれ変っていく爽快なノンフィクション映画です。
作品:「マネーボール」(原題:「Moneyball」)
主演:ブラッド・ピット、フィリップ・シーモア・ホフマン、ロビン・ライト、
制作:2011年(米国)
主人公は、オークランドアスレチックスのゼネラルマネージャー(GM)。GMとして貧乏球団を任されましたが、優秀な選手はすぐにお金のあるチームに引き抜かれてしまいます。だからいつも最弱。そんなある日、野球経験はないもののデータ分析が得意な人物と出会い、彼の思考が大きく激変します。そこからは、他のスカウトとは違う視点──統計を駆使した客観的な評価(セイバーメトリクス)で選手を評価。統計的要素をベースボールに導入するという柔軟な思考と、それが生き詰まったときの対処法が融合し、チームに奇跡が起きます……。人間としての生き方としても参考にもなる映画です。

4.「巨大企業の不正を暴く話」だが、それを阻止したい企業のやり方がすごい〜卑怯思考

巨大たばこ産業の不正を告発するため、内部(インサイダー)で働いていた科学者とテレビ局のプロデューサーが大きな圧力に立ち向かっていく実話を元にした映画です。告発する主人公たちに注目が集まりますが、それを阻止する企業の「追い込み戦略」が凄まじく、その卑劣さを知っておいて損のない作品。
作品:「インサイダー」(原題:「The Insider」)
主演:アル・パチーノ、ラッセル・クロウ
制作:1999年(米国)
企業のずるさ、賢さが随所に散りばめられています。アル・パチーノ演じるTVプロデューサーがたばこ会社の元社員のラッセル・クロウに接触。それはたばこ会社の不正を告発するため。しかし、会社側は引越し先を見張り、脅迫メールを送ってくるし、家族を危険にして追い込もうとするし、なんとも卑劣。まさに卑劣のデパート。企業が収益を守るためにはなんでもする典型的な話。極端ですが、このような企業のやり方を知っておけば戦い方がわか りますよ。

5.政治の舞台で頂点まで上り詰める〜戦略的思考

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映画から離れてしまいますが、アメリカのドラマです。アメリカの政治について日本ではあまり知られていません。知られているとすれば二大政党制、大統領制、上院下院程度でしょうか。世界一権力を持つホワイトハウスと議会を操る下院議員のひとりが頂点まで上り詰めるドラマ。
作品:「ハウス・オブ・カード 野望の階段」(原題:「House of Cards」)
主演:ケビン・スペーシー、ロビン・ライト(このコラム2回目登場!)
制作:2013年2月〜(米国)
このドラマは、内容的には少し過激です。何が何でも権力を手に入れます。反対票を投じようとする議員を説得するための思考や、票集め、強大な敵をねじ伏せる為の作戦、巻き込み力、交渉力などを学ぶことができます。好みが出るドラマですが戦略思考の一旦を垣間見るにはよいドラマです。ところで最近、トランプ大統領がオバマケアの修正案を断念しました。このドラマを見て入れば簡単にその理屈を理解できますよ。
読書も良いですが、是非「映画」を楽しみながら思考力を高めてみませんか。
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