米国の長期金利が9月下旬から上昇基調となり、10月に入るとこれまで壁として跳ね返されてきた3%のラインを突破してきました。その後は3%の壁を明確に突き抜けて3.2%台まで上昇し、2011年5月以来の水準にまで戻ってきています。今の長期金利は「これまでの上限が下限になる」というチャートの理論を体現する形となってきているようです。
2018.10.26
米国の長期金利が示す「景気減速の兆候」と「株式市場の調整」
長期金利が3%を明確に超えてくるようになると、低金利に頼ってきた旺盛な米国の個人消費に陰りが見え始めるようになるばかりか、自動車ローンやクレジットカードローンの延滞率が上昇するという悪影響が懸念されます。
現実に、夏場から住宅市場が天井を打ったという感触があるなかで、2018年中には個人消費に弱含みの兆しが見え始め、2019年の前半にはその悪影響が如実になっていくことが予想されます。すなわち、これから1年程度で米国の成長率が急減速する見通しが立てられるというわけです。
それに追い打ちをかけるように、2019年後半にトランプ政権による大型減税の効果が薄れてくることを考えると、今後の長期金利の平均した水準が3.2%前後で推移し続けたとすれば、米国は2019年中に減速傾向が鮮明になっていき、1%~2%台の成長率に落ちていくでしょう。さらに2020年には景気後退(2四半期以上のマイナス成長)が現実味を帯びる展開を想定しておかねばなりません。
当然のことながら、今後の長期金利が3.5%程度まで上昇するようなことがあれば、景気後退が始まる時期はそれよりも少し早まる可能性が高まっていくのはいうまでもありません。米国の景気後退が現実のものとなれば、世界は同時不況に陥ることが避けられないでしょう。
ですから、米国の長期金利の推移には細心の注意を払っていく必要があるというわけです。
そのようなシナリオのもとでは、株式市場も調整入りする可能性が高いといえます。
2019年~2021年の3年間は波乱に備える投資姿勢が重要になってくるのです。株式に積極的に投資するチャンスは、世界的な不況時にやってくるものです。米国が景気後退に陥るだけでなく、中国が景気減速に苦しむようになれば、成長率のマイナス幅がもっとも大きくなる先進国は日本において他はありません。
ですから、2018年末までには現金のポジションをできるかぎり高め、次のチャンスを待つ姿勢が求められています。今のところは積極的な買いの想定時期を2020年前後に設定していますが、その他の偶発的なリスクも含めて、臨機応変に対応していきたいところです。
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