富裕層になる人に共通する職業観

代々の富裕層以外で自分の力で富裕層になれる人。その人たちをざっくり区分けすると起業家と投資家そして専門性の高い人です。その人たちには、職業を選ぶ際に共通する職業観があります。その職業観とは。

2018.7.30

安定性や成長性より経験値を優先する

企業にはライフサイクルというものがあり、創成期、成長期、成熟期、衰退期の4期に区分されます。
さて、新卒に人気の就職先といえば、成長期か成熟期のサイクルにある企業が大人気です。理由は、これらの企業の知名度が高く給料が高そうだからです。次に、転職市場においては、新卒と同じように成長期の企業は人気が高いのですが、成熟期企業よりも創成期の人気が少し高いようです。みなさんも雑誌など転職理由の上位に「会社の歯車になりたくない」というコメントをみなさんも読んだことがあるのではないかと思います。そのため、創成期の人気が高いようです。
では、富裕層になるような人は、転職や新卒の時にどのサイクルの企業を選ぶ人が多いのでしょうか。答えは、少しずるいのですが、「企業のライフサイクルでは選ばない」です。また、「その企業で何をできるかだけにフォーカスする」という傾向があります。
富裕層になる人は、「お仕事はなんですか?」と聞かれた時に、「****」と会社名でいう人はほとんどいません。多くの人は、「事業再生です」「インキュベーションです」など、業務、専門分野を伝えます。
このようなことから、一般的には一番敬遠される衰退期の企業への就職も富裕層になるような人は積極的なことがあります。衰退期企業は、どうしても積極的な新規事業投資などを行わないことが多いため、企業が成長するためのビジネスセンスを身につけることは難しいのですが、一方で、投資資金の回収、事業の売却、統廃合など消極的な業務にふれる機会は多く、事業清算やコスト削減などの特殊なビジネススキルを身につけるチャンスに溢れています。衰退期にある企業だからこその、このような業務に携われる「企画部」「財務部」「事業戦略部」に属して高いスキルが身につけ自分の将来価値を高めることを目指すことができます。
資産を築く人には、成長企業を起業したり、または、成長企業に投資をする人が多いのも事実です。しかしながら、事業再生、企業再生の能力を使い企業の再生をして資産を築き富裕層になる人もたくさんいます。
ここからのヒントは、どの企業で働くかではなく、その企業でしか得られないようなスキルが身につく業務に携わることを最優先すべきだということです。

売上や知名度よりビジネスモデルで選ぶ

2000年頃までは、企業を評価する方法とえいば、「売上高」「知名度」「従業員数」など、規模の大きさを評価する風潮がありました。しかし、現在は、「優れたビジネスモデル」を持つ企業の方がバリューが高く将来性を評価する風潮に変わりました。
その背景には、プラットフォーマーといわれる企業が大きく成長したことがあります。プラットフォーマーとは、第三者がビジネスを行うための基盤を提供する企業のことでグローバル経済においては欠かせない存在です。例えば、FANGとよばれるアメリカを代表するネット企業4社、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム、ネットフリックス、グーグルがこれに該当します。このように優れたビジネスモデルさえあれば、旧態然とした規模の経済を求める企業、業態などあっという間に追い越したことが大きく影響しています。
富裕層になる人は、このような「ビジネスモデル」を創り出す企業や部署にいる場合は多いようです。そこで身につけた経験は、起業家としても投資家としても間違いなく活かすことができます。ただし、このような企業に属していないと富裕層になるチャンスがないのかというとそんなことはありません。
例えば、TVでビジネスモデルにフォーカスした番組を見る、自分が使っているお店やネットショップなどのビジネスモデルを調べてみる、友人の会社のビジネスモデルを聞いてみるなど、このような習慣を身に付けて、自分でビジネスをスタートして成功し富裕層になった人を私はたくさん見てきました。
それは、ビジネスの成功は、創り出す人だけが独り占めできるわけではないからです。早い段階で模倣する、マネをすることで市場での存在価値を高めることは比較的簡単です。そのように早い段階で対応できるセンスをみにつけることができればチャンスを逃すことはありません。

決断と判断を若い頃から任せてもらえる仕事を選ぶ

富裕層になる人は決断と判断の経験数を重視する傾向があります。
その背景は、判断能力や決断能力は数をこなせばこなすほど向上するとされているからです。2010年9月に発表された論文によれば、アクション・ゲームを趣味にしている人は、ゲームの疑似体験を通じても迅速な決断を下すための能力が鍛えられているそうです。ここでいうアクションゲームとは、ゲームの最中に突然現れた障害物を避けたり、敵に囲まれてその窮地をどうにか脱するなど、判断と決断を繰り返すことで無事にクリアしていくというものです。つまり、ゲームの最中に何回も何回も迅速な判断力が求められています。
さて、この論文をビジネスの世界にも適用してみます。ビジネスでも、判断と決断を条件反射のように行う環境下にいると確率的推論(人は、よい結果が得られる見込みを素早く評価して、それに基づき日々たくさんの判断を下している)の能力を鍛えることができるとされています。
さて、自らの力で富裕層になる多くの人は、人生において必ず数回チャンスをものにしています。若い段階から「苦労は買ってでもしろ」という格言はここから来ているのかもしれません。人生において限りあるチャンスを逃さないために若い頃から幾度となく判断を下すことを積極的に買って出て経験しているのはこれが理由のようです。
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