2018.6.14
仲介手数料無料は本当なのか?
今回は、そろそろ子どもも大きくなってきてマイホームを考えはじめたというみなさん、必読のお話しです。
岸和田さんは賃貸マンションが手狭になってきて、同じ予算でより広い物件が買える中古マンションを検討しています。住宅ローンのシミュレーションをしたところ、頭金400万円と合わせて、4400万円が予算と分かりました。しかし、物件価格の6~10%は仲介手数料、不動産登記費用、引っ越し費用などの諸経費がかかるので、物件そのものは4000万円ほどで検討することに。インターネットで4000万円を上限に探しますが、希望条件に合う物件が見つかりません。予算をアップして再度検索してみると4300万円で希望条件に合う物件があり、建物の中の写真を見て気にってしまいました。「300万円くらい親に借りてなんとかならないかな。しかもこの不動産会社「仲介手数料無料」だって!」
不動産の仲介手数料は物件価格の3%ですから、4300万円の物件なら約130万。本来なら4430万の支払いになるところが、予算よりプラス300万のみで済むというのは魅力的です。岸和田さんは「仲介手数料が無料だなんて怪しいのでは?」と感じましたが、不動産会社に訪ねたところ、「他社の物件の仲介ではなく、自社の物件を販売しているから」と説明され納得しました。契約はトントン拍子に進み、晴れて物件を買うことができました。「仲介手数料もタダだったし、お得な買い物ができた!」と大喜びでしたが……。
その無料分、実はあなたが払ってます
じつは、この岸和田さん夫妻が買ったマンション、実際のところはまったくお買い得ではありませんでした。なぜならこの物件は、3500万円で売っていた物件を不動産仲介会社が買い取って200万円ほどかけてリフォームし、4300万円で売りに出していたものだったからです。つまり、3700万円ほどの価値しかなかった物件だったということ。そして、不動産会社が直接販売する物件ですから、仲介手数料はそもそもかかりません。そのことをあえて「仲介手数料無料」とうたってお得感をアピールしていたところ、岸和田さん夫妻が釣られてしまったということです。こういった情報は決して、一部の限られた層しか知らない情報ではありません。不動産業界のことを少し知るだけでわかること。勉強する手間とお金を惜しんだために、およそ600万円の割高物件を購入する結果となってしまったのです。
通常の不動産取引にはかかってくる仲介手数料の130万円が無料になるなんて、よく考えたら不自然な話です。不動産会社はひとつの売買取引を成立させるまでにかなりの手間とコストをかけおり、仲介手数料がなければ利益を上げることはできません。そんなサービスが無料で提供されることなどあるでしょうか。「仲介手数料無料」とうたっていた販売価格が、仲介手数料が上乗せされた価格だったという裏があったわけです。
富者の遺言 第1章 始まり〜本当にそれでいいのですか?[第1話]
![富者の遺言 第1章 始まり〜本当にそれでいいのですか?[第1話]](https://cdn.clipkit.co/tenants/24/item_links/images/000/015/860/thumb/2f8e0656-3132-4dd5-ba05-ce51b1e5abbb.jpg?1528361401)
元銀行員の男が起業をして、一時は成功の夢をつかみかけたが失敗する。男はなぜ自分が失敗したのか、その理由を、ジョーカーと名乗る怪しげな老人から教わっていく。"ファイナンシャルアカデミー代表"泉正人が贈る、お金と人間の再生の物語。