三軍も帥(すい)を奪うべきなり。匹夫(ひっぷ)も志を奪うべからざるなり。(子罕篇第九)
(意味)数万の大軍を率いる総大将でも、その大将の身を奪うことはできる。しかし、一人の人間といえども心の中にある志を奪うことは誰にもできない。
肩書きや地位以上に、志を高く持って生きることは大切です。 社会人となったときの意気込み、あるいは目標を今でも持ち続けているでしょうか。
経験を積めば積むほど、初心が薄れていくこともあるでしょう。初志を貫徹するのは難しいことです。入社当初、やる気に満ちあふれ、「社会の役に立ちたい!」と発奮していたものの、環境に慣れると、「まぁこんなものか」と妥協することもあるのではないでしょうか。
次第に待遇面や給与に不満が出たり、仕事に身が入らなくなったりすることもあるでしょう。
しかし、環境を言い訳にして自分を腐らせていいはずはありません。志は自分次第でどうとでもなります。職場で自分を輝かせられるかどうかも、結局は自分の行動や気の持ちようにかかっているのです。
評価されないことに焦りは禁物
速やかならんと欲することなかれ。小利を見ることなかれ。速やかならんと欲すれば則ち達せず。小利を見れば則大事ならず。(子路第十三)
(意味)早く成果を挙げようとするな。目の前の小さな利益に目を奪われるな。成果を急げば達成しない。小利に気をとらわれれば大事を成し遂げることはできない。
上記の言葉は、「急がば回れ」、「急いてはことを仕損じる」ということわざにも通じる格言です。
物事を達成するのに近道はありません。実績を出すにも時間がかかり、その実績に評価がつくのもさらに時間がかかります。場合によっては、評価を得るのに数年はかかるものもあるでしょう。
評価されたいのであれば、評価を出すために何が求められるのか考え、今できることとできないことを冷静に分析したほうが建設的です。そして、できないことをできるようにするために、今目の前にある仕事を地道に一歩一歩進めていくことが大切なのです。
与えられた仕事がどんな仕事であれ、情熱を持って取り組むことが、何においても評価される一番の近道だといえるでしょう。
まとめ
仕事で評価されないと感じたときに思い出したい論語を紹介しました。
華やかで評価されやすい仕事は全体のごく一部にすぎません。そしてその仕事は、地道な仕事をコツコツと積み上げ、信頼を得た先で任される仕事なのです。