2019年7月14日 更新

孤独が人を滅ぼす?

経済コラムニストの大江英樹氏は、著書「定年楽園」で、定年後の最大の不安は、孤独になること、と書かれています。 その本を初めて読んだ時、僕は老後を乗り切るのはやっぱりお金でしょ、なんて考えていたので、孤独?と多少疑問に思いました。

経済コラムニストの大江英樹氏は、著書「定年楽園」で、定年後の最大の不安は、孤独になること、と書かれています。

その本を初めて読んだ時、僕は老後を乗り切るのはやっぱりお金でしょ、なんて考えていたので、孤独?と多少疑問に思いました。

その後、定年後の老後を乗り切るのはやはり、健康だなと思うようになりました。

つまり、健康なら働くことができます。

働ければ多少の収入があります。普通のサラリーマンだった人なら年金と合わせればなんとか食っていけるでしょう。

そして働けば、仲間もできて孤独ではなくなります。
また孤独でなくなれば、生きがいも生まれます。

そして生きがいが生まれれば、より働く意欲が増し、健康にもよいという良好なサイクルが生まれます。

しかし、このサイクルが狂うとどういうことになるでしょうか?
少し考えてみたいと思います。

孤独担当相を新設した国

昨年の週刊東洋経済11月3日号を読んで衝撃を受けました。
なんと「孤独」が国の経済に大きな影響を与えるというのです。

つまり「孤独」という現象は、個人だけの問題ではなく、国家レベルでの大きな問題ということです。

週刊東洋経済には次のように書かれていました。

年間約4.7兆円の損失。
これはイギリスで試算された、「孤独」が同国経済に与える影響額だ。人口約6,500万人のうち、900万人以上が孤独を感じているとされる。
イギリス政府は、「孤独担当相」というポストを新設し、対策に乗り出した。それだけ危機感が強いということだ。

ちなみにイギリスは特別孤独を感じている人が多い国ではありません。
統計だけ見ると、日本の方がずっと状況は悪いです。

例えば、単身世帯比率を見ると、日本は約35%とイギリスの30%よりも単身世帯の比率は高い国です。しかし、デンマーク、ドイツ、ノルウェー、オランダ、オーストリア、フランスなどのヨーロッパ諸国は、日本よりも高い比率を示しています。

一方、家族以外との交流がない人の割合を見ると、日本はOECD諸国の中でもっとも割合が高い国です。

日本では、約15%の人が、友人、会社の同僚、その他社会団体(協会、スポーツクラブ、カルチャークラブなど)の人々との交流が「全くない」もしくは「ほとんどない」と回答しています。

この割合は、断トツで、他のヨーロッパ諸国が、10%以下なのに対して飛びぬけています。
ちなみにイギリスは、約5%です。

つまり日本よりも孤独比率の低いイギリスですら、危機感を持って孤独対策に乗り出しました。

孤独が原因と思われる事件

僕は、昭和30年代の生まれですが、30年代、40年代に比べれば、現代は犯罪が少なくなり少しは安全な社会になったと感じています。

しかし、高齢者や孤独が原因と思われる事件や事故が続いているとも感じていますし、今後増えるのではないかと不安視しています。

前出の大江英樹著「定年楽園」の冒頭でいきなり
「20年前に比べて高齢者の検挙数は約5倍、特に暴行犯は過去20年間で50倍」
と書かれています。

その原因として、元気な高齢者が増えていることと、元気なのに活躍の場が少ない、からではないかと分析をされています。

つまり定年後に退職して→居場所の喪失→何をしていいかわからない→友達がいないし、家族にも疎まれる→心身の悪化という悪いサイクルになるのです。

そして一旦孤独に陥るとそこから脱出するのは容易ではありません。

孤独にならないための勤老

大江氏は、孤独にならないためには自分の居場所を作ること、自分の居場所を作るためには働くことが一番の解決策と書かれています。

僕もその通りだと思います。

しかし現状の制度では、勤めている企業ではどんなに働きたくても65歳までです。
現在政府は、70歳までの雇用義務を検討していますが、雇う側の企業としては素直に受け入れられないでしょう。
また、働く側にしてもどんなに働く意欲があっても、雇用条件はあくまで企業側主導です。

そうなると僕のように飛び出して自営の道を選びたくなります。

最後に

現在の僕は、来月7月末で長年勤めた会社を辞めて自営の道を歩くことにしています。

どうなるかわかりません。
不安がいっぱいですが、なんとかなるとも考えています。

このコラムでもその後のリアルな現状を報告していく予定です。
今のところは、アルバイトしながらブログの運営などで生活費を捻出していく予定です。

そんなの無理だよ、という人がほとんどです。
でもやってみなきゃわかりません。

僕は手帳に次のような言葉を書き留めています。

「どんなに黄金を積まれても決して自由を売り渡してはいけない」
これは、大江氏の著書から取ったものです。

大江氏は、この言葉をクロアチアの城壁で見つけて、自分が探し求めていた答えを見つけたと思ったそうです。

8月からは孤独という不安を背負いながらも、自由を求めての船出となります。

【前回の記事はこちら】
会社員人生 37年間続けてこられた理由

いまから始める定年後のお金対策

最新記事・限定情報はTwitterで配信中♪

2 件

関連する記事 こんな記事も人気です♪

Facebookの仮想通貨「Libra」はどうなる!?

Facebookの仮想通貨「Libra」はどうなる!?

Facebookは6月18日、独自の仮想通貨「Libra」を2020年に発行する予定だと発表しましたが、その後世界中からの注目と共に、懸念や批判など厳しい声が相次いでいます。 さて、今後Libraはどう展開していくのでしょうか?
お金 |
起業家を助ける「エンジェル投資家」はどこにいる?探し方や注意点は

起業家を助ける「エンジェル投資家」はどこにいる?探し方や注意点は

資金を出して起業志望者を手助けする「エンジェル投資家」はどこにいるのでしょうか?どこを探せば見つかるのでしょうか?もし見つかって「資金を出すよ」と言われても、それが本当に信用できる人物なのかどうか、どう判断すればいいのでしょうか?
お金 |
世界各国が傾斜する金融緩和と為替の関係

世界各国が傾斜する金融緩和と為替の関係

最近の経済指標を見ていると世界的な景気の減速傾向が確認できます。そのため、各国の中央銀行より金融緩和を進める発言や、実際にいくつかの国においては緩和策(利下げなど)が採用されています。ところで、金融緩和策の打つ手が限られている日本円の今後の見通しはいかに。
地方銀行の相次ぐ合併|変わっていく銀行の役割とは

地方銀行の相次ぐ合併|変わっていく銀行の役割とは

ここ数年、合併のニュースが相次ぐ地方銀行。銀行合併というニュースを聞くと、「自分の貯金は大丈夫なのか」、「地域経済に影響はないのか」と心配になる方も多いでしょう。地方銀行はなぜ合併をするのでしょうか。そして、利用者である私達にはどのような備えが必要なのでしょうか。
お金 |
不動産市場が低迷期に入る初期の兆候

不動産市場が低迷期に入る初期の兆候

近年、不動産投資がブームであったのは、地方銀行が金融緩和により溢れたマネーをリスク度外視で不動産投資を始める人々に融資してきたからです。

この記事のキーワード

この記事のキュレーター

STAGE編集部 STAGE編集部
お金の教養講座
お金と投資のセミナー情報(無料)

お金の教養講座

おすすめ

お金の教養講座

⼤⼈として知っておきたいお⾦の知識。
⼈⽣そのものを充実させるためのお⾦の基礎講座

月5万円で資産1億円を目指すゴイチセミナー

1億円を作った人が実践してきた「資産運用のルール」を真似しよう


ファイナンシャルアカデミー公式SNS