2019年4月1日 更新

「自由に働きながら、世界を変える。」24歳で単身アフリカへ

フリーランス国際協力師としてウガンダ共和国に単身で飛び込んだ筆者。学生時代に携わってきた活動を振り返りながら、今の働き方に至った経緯をご紹介します。

大学卒業後、適応障害を発症

そんな順風満帆に思えた僕の活動も、一度完全にストップしてしまいました。大学を卒業して間もない去年5月頃、心の病気になってしまったのです。

心療内科からは「適応障害」と診断されました。在学中から続いていたハードワークに加え、団体の代表としてのプレッシャー、人間関係の悩み、大学卒業という環境の変化…。それらが一度に重なって、脳が「この辺りで一度休んだ方がいい」とブレーキをかけたのだと思います。

仕事からは完全に離れ、ひたすら休むだけの毎日が始まりました。本当であれば翌月からウガンダに戻る予定だったのですが、予約していた航空券もキャンセルしてしまいました。

朝起きると体が鉛のように重たく、何をする気にもなれません。一日中ベッドで寝ていた日もあります。理由もなく涙がこぼれたことも。

「周りの同期はとっくに社会人として働いているのに、どうして僕はこんな体になってしまったのか。」そう、自分を責める日が続きました。

自ら起業した団体を、自らの意志で離れた

子どもたちと遊ぶ筆者

病気を発症してから半年が経った頃、僕は一つの決心を固めました。自ら起業した団体を、自らの意志で辞めることにしたのです。

寝る間も惜しみ、毎日必死になって働いていた団体を離れる。大好きだったはずの仕事を辞める。その決断を固めるには、とても大きなエネルギーを使いました。

でも、その頃には団体に戻り、以前と同じように働いている自分の姿を想像することは難しくなっていました。それに、適応障害になった原因が「団体で働く」ことにあったからこそ、その原因を取り除くためにも団体から離れることを決めたのです。

フリーランスとしての再出発

現地パートナーと筆者

でも、起業した団体から離れたといって、国際協力に対する想いがゼロになったわけではありません。むしろ病気の症状が少しずつ改善していくうちに、「もう一度アフリカに戻りたい」という気持ちが芽生え始めました。

そして今年に入ってから僕は、フリーランスとして活動を再開したのです。

国際機関やNGOなど、ある組織に所属しながら実践するものとされてきた国際協力。そんな風潮もある中で、僕はどの組織にも属することなく、フリーランスとして国際協力に携わることを決めました。

現地で支援活動に携わることだけが今の仕事ではありません。時には現地人パートナーとYouTubeを使いアフリカの問題を発信したり、時にはブログで国際協力に関する記事を書いたり、時には日本で学生対象に講演を行ったりしています。

世間一般で認知されているような国際協力とは一線を画すかもしれませんが、自由に働きながら世界を変える「新しい国際協力」を追求する、それが今の僕の仕事です。

適応障害を経験し、一度はすべてを失ったと思いました。起業した団体を辞める時、何日間も胸の苦しい日が続きました。

でも、今こうしてウガンダに戻ってきて活動を再開し、その様子を皆さんにお伝えできることを本当に嬉しく思います。

「自由に働きながら、世界を変える。」この連載を通じて、僕が追求する新しい働き方を読者の皆さまに知ってもらえれば幸いです。

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原貫太

1994年生まれ。フリーランス国際協力師。早稲田大学卒。 フィリピンで物乞いをする少女と出会ったことをきっかけに、学生時代から国際協力活動をはじめる。これまでバングラデシュのストリートチルドレンやウガンダの元子ども兵、南スーダンの難民を支援してきた。 大学在学中にNPO法人コンフロントワールドを設立し、新卒で国際協力を仕事にする。また、出版や講演、ブログを通じた啓発活動にも取り組み、2018年3月小野梓記念賞を受賞した。 大学卒業後に適応障害を発症し、同法人の活動から離れる。半年間の闘病生活を経てフリーランスとして活動を再開。現在はアフリカと日本を行き来しながら、国際協力をテーマに多様な働き方を実践している。著書『世界を無視しない大人になるために』 ブログ:https://www.kantahara.com/ Twitter:https://twitter.com/kantahara
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原貫太 原貫太
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