2018年4月19日 更新

米国中間選挙は貿易摩擦とドル安を引き起こすは本当なのか?

米国の中間選挙と言えば、「貿易摩擦」と「ドル安」というイメージがつきものです。でも、その背景については様々な理由があるとされていますが、今日はその背景をSTAGE風に読み解きます。

gettyimages (13293)

2018.4.16

中間選挙とドル安

istockphoto (13294)

4年に一回、米国中間選挙の年のドル円相場はどうなるという話が出ていきます。そこで改めて、直近10回の中間選挙年のドル円相場を調べてみると(調べ方は、その年の年始のドル円レートから年末のドル円レートを比較しています。)、ドル安(年始より年末のドルが安い)は8回、ドル高(年始より年末のドルが高い)は2006年・2014年のたったの2回となり、やはり世間で言われている通りドル安になる傾向が強いと思います。ちなみに、2006年のドル高は約1円だったこと、2014年は歴史に残る日銀の円安サポートがあったことを考えるとさらにその感覚が強くなります。
では、このドル安はどのような理由で起こっているのでしょうか。よく新聞や記事で使われる説明としては、自動車・製造業などの米国輸出業者の大票田を得るために、人気を得る策として大統領とホワイトハウスがドル安を志向するからであるというものです。
確かにこの理由は説得力があるのですが。冷静に見ていくと、そもそも1971年から2011年までの約40年は長きに渡って360円から77円75銭まで超ドル安円高時代だったので、円高の年が多いのは当然といえば当然でもあります。

中間選挙と貿易摩擦

thinkstock (13296)

さて、中間選挙における人気取りはドル安志向だけには留まりません。もう一つは貿易摩擦です。トランプ大統領は、白人の労働者階級の支持を集め大統領に就任したといわれています。そのことをよく理解しているトランプ大統領は、今年は特に「米国の富をうばった外国人」=「貿易黒字国」という構図で、貿易摩擦を大義名分とした「ゆさぶり」で中間選挙に向けて支持率浮上の政治戦略にしていくことでしょうか。
では、本当に貿易摩擦、貿易戦争は激化していくのでしょうか。米商務省が2月6日に発表した2017年の貿易統計によると、モノの貿易赤字は7962億ドル(約87兆円)と前年比8.1%増え、その約半分を中国が占めるというものです。ちなみに、対中国の赤字は過去最大、対日本の赤字は横ばいでした。この記事だけを見ると、中間選挙も控えているし、益々貿易戦争が広がりそうだと思うかもしれません。
しかし、あるレポートに大変興味深い記述がありました。中国からの輸入増加が米国政治にも大きな影響を及ぼしていているというものですが、
・中国からの輸入品で競争にさらされた州(選挙区)では、保護主義を掲げる候補への支持が圧倒的に高い
・トランプ大統領が勝利した 2016 年の米大統領選において、もし中国からの輸入額が半分に収まっていれば、接戦州であった3州でトランプ大統領が敗退していた可能性が高い
と分析されています。
このようなレポートを見てふと思うことがあります。確かに「貿易黒字国たたき」の旗は必要であるから掲げるけれど、もし、強硬な通商政策により米国の赤字額減少を本当に実現できたとしましょう。そうなれば、接戦州の票がトランプ大統領に向かわないという矛盾が起こるのではないかと。だからこそ、黒字国を叩いて選挙を勝ち抜くためにパフォーマンスは必要だけど、実現してはイケないという矛盾を抱えながら、今回の米中交渉は進められているのではないかと。
24 件

関連する記事 こんな記事も人気です♪

日本人ノーベル賞受賞者が出た「電池」次世代電池の研究開発最前線は?

日本人ノーベル賞受賞者が出た「電池」次世代電池の研究開発最前線は?

11月11日は「電池の日」。10月9日、「リチウムイオン電池」開発の功績で吉野彰博士がノーベル化学賞を受賞しました。「全樹脂電池」「リチウム空気電池」「全固体電池」など次世代電池の開発競争もますます盛んで、最前線では日本人科学者も活躍しています。
経済 |
プチプラの次は?フォーエバー21の破綻に見るファッション業界の行方

プチプラの次は?フォーエバー21の破綻に見るファッション業界の行方

断捨離した後の服の行方を考えたことがありますか。経済的な成長の裏にはほとんど犠牲が伴い、堅調な成長を見せるファストファッション市場もその一例です。しかし今、利益追求を優先しすぎたファストファッション業者のモラルと、消費者の良識が問われる時期がきたようです。
経済 |
欧州経済の「日本化」が進んでいる?今後最も避けたい3つの恐怖

欧州経済の「日本化」が進んでいる?今後最も避けたい3つの恐怖

9月12日に欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が発表した総合的な金融緩和策では、欧州の低成長と低インフレの長期化を阻止するのに不十分であると市場の評価は冷ややかです。いかなる金融政策を講じても経済回復に至らない「低成長」「低インフレ」「デフレスパイラル」という日本化が本当に欧州圏で進んでいるのでしょうか。
今年の秋は10月からスタートする米国企業の業績発表に注目

今年の秋は10月からスタートする米国企業の業績発表に注目

最近では、トランプ大統領の中央銀行への圧力や世界的に広がる貿易戦争などのトピックスに対して反応が鈍くなっているように感じます。一方で、景気の弱さと企業業績の不透明感が徐々に台頭していることについてはニュースとしてあまり取り上げられてないので知られていません。
ウェルネスブームが世界中で止まらない!4兆ドルの経済効果と背景

ウェルネスブームが世界中で止まらない!4兆ドルの経済効果と背景

マインドフルネスをはじめとした、ウェルネス(健康を維持、増進させようとする生活活動)に興味を持つ人が増えつつあります。ウェルネスツーリズム、アプリなど新たな商品が出回り、今やウェルネス産業の市場規模は4.2兆ドル以上。このブームの実態や背景、昨今のトレンドについて解説します。
経済 |

この記事のキーワード

この記事のキュレーター

渋谷 豊 渋谷 豊