今までしてきたことも楽しみながら、だんだんとできなくなっていくことにはこだわらない。自分らしいひとりサイズの上手な暮らし方がきっとあるはずです。
阿部絢子著『ひとりサイズで、気ままに暮らす』 より、老後にのびのびと暮らすための考え方のコツをご紹介します。
自分ルールで生活をきちんと締める
ひとり暮らしの何がいいのか、と聞かれたら即答できる。なんでも気ままに決める自由が持てることだ。食事なら、好きなものを好きな時間に、好きに食べられる。昼寝も、夜中に仕事をするのも、誰にも遠慮がいらないのだ。これを楽しまない手はない。
<8ページより引用>
生活研究家であり消費生活アドバイザー・薬剤師である著者。洗剤メーカー勤務を経て、百貨店の消費生活アドバイザーとして30年勤務。
現在は70代になり、家事や生活全般にわたっての出版や講演を行なっています。これまで40年ひとり暮らしをしてきた著者ですが、少しずつコツを掴んできて、ひとり暮らしが今、おもしろくて仕方がないのだといいます。
当然のことではありますが、ひとり暮らしは同居者に気を使うことなく生活ができるものです。生活をすり合わせる必要がないということは、たしかにノーストレスであるといえるでしょう。
しかし、あえて自分ルールやルーティンを作るようにしていると著者はいいます。たとえば、朝起きたらコーヒータイム、そしてシャワー。
できないものや、やりたくないものではなく、数少なく、生活をきちんと締めて刻めるルールを作っているのだとか。それだけでも、ひとり暮らしの動かし方がうまくいくようです。
全ての基本はひとりである
ところで、「ひとり」とはそもそも何なのだろう?ひとりとは、家族や社会などからすると、基本の構成員だ。ひとりの自分があり、ほかのひとりと寄り添って、協力し、助け合うことで集まりとなっていると私は思っている。だから、ひとりの自分の、身体、気持ち、経済、生活、つきあい、労働がしっかり成り立っていないと、ひとりを基本にしている集まりは、どこかがゆるみ、時には崩れる。
<124ページより引用>
ひとり暮らしの場合、不安や悩みの自己処理法を持っておくことが大事であると著者はいいます。これがあると、悩んだときもグズグズと長く抱え込まなくてすむのだとか。
たとえば病気に対する不安や怯え。そのような悩みが起きた場合は、何かに書き出して吐き出すようにしているのだといいます。
「なぜ、どこが不安なのか」「もしものときはどうしたいか」「その具体的な方法」を書き出して具体的な道筋をつけて考えることが大事なようです。
そして、すべての基本はひとりで考えることにあると著者はいいます。家族や社会の基本構成員はひとり。たとえば、自分の身体をひとりで考えるということは、ほんのわずかな変化を見逃さずに自分に問いかけること。
医者に行くのか、応急手当てをするのか。少し考えるだけでその対応方法は大きく違ってきます。
ひとりの自分がしっかり成り立っていないと、集団に入ってもうまくやっていくことは難しいでしょう。
孤独は怖くない
孤独は怖くないと語る著者。若いときからひとりでいた著者をかわいそうと言っていた友人も、年を重ねて夫婦二人きりになったときに、孤独を漂わせている人がいるのだといいます。
孤独で寂しいかどうかなど、他人にはわかるものではない。自分の暮らしに満足しているかどうかがカギであるといえるでしょう。
ひとりでいても、二人でいても、満足した暮らしを送っていれば、孤独とは縁遠い毎日です。
どういう生き方をするにしても、経済的に、精神的にしっかりと自立して、自分らしく生きていきたいものです。
タイトル:ひとりサイズで、気ままに暮らす
著者:阿部絢子
発行:大和書房
定価:1,512円(税込)